荒川弘著。
荒川さんは北海道の農家出身で、私と同年代。
先月第3子をご出産したことでニュースになっていた。
私も農家出身だけれど、北海道の農業はこんなに働かないと生活できないのか…と唖然としました。
私の実家の場合、都市近郊と言うこともあって販売先に困ることは全くないし、農業の基盤を支える1つには不動産管理業も含まれてくる。
この基盤部分があるかないかはかなり違うのだろうな。
また、北海道の畜産の場合は、生き物相手で、何日も家を空けるような休みもとれない。
それに対して、私の実家は果樹栽培を中心にしているので、1週間くらい旅行に出かけるのは時期さえ選べば普通にできることだ。
荒川さんの著書を読んでいると、地方の農業、とくに北海道の農業がこんな綱渡りをしているだなんて考えたこともなかった。
私の知っている農家は、都市近郊の農業者ばかりで、たいていは飲んだくれて遊んでばかりいるようにしか見えないからだ。
仕事もしているけれど、荒川さんの描く農業者に比べると、家庭菜園のレベルなんだろうな。
私は以前、農業ができる環境に憧れていたけれど、ここ数年でその考えがいっぺんしてしまった。
どちらかというと、都市近郊の農業なんてやめればいいのに…と。
農政によって、都市近郊の農業もその恩恵にあずかっていて、大変恵まれた状況にある。
一方で都市部の住民が市民農園を利用したくても利用できない状況がある。
都市近郊の農業も集約ができずに効率化できないのであれば、少なくとも税制上の優遇はもう少し低くてもいいのではないか。
そして、もしも税制優遇を受けるのであれば、市民に解放された農園を一部に作る…などの地域共生型の農地にするなどの工夫が必要では?
なんて考えてしまった。
日本の農業を考えることができる1冊だ。