父の食卓

よくおつかいで　買ってきたものに　　多聞の二級酒ある

お酒大好きは父の晩酌用のお酒だ

公務員だった父は　　飲み会がない限り　定刻に家につく

そして　定刻に　晩酌を始めた

私たち子供の食卓にはあがらない「おいしいもの」が　父のおかずにはあった


お刺身や　　一口カツ　　牡蠣の酢の物　　　旬の酒の肴・・・・・

おいしいそうにお酒を飲む父のまわりにいると

必ず一口　箸でつまんで食べさせてくれた


お盆やお正月　　また　突然　　家では酒宴が開かれていた
いつもはちょっとの「おいしいもの」が　大皿に盛られて　　客間に消えていく
わたしたち　子供の分はない
父のそばにはいけないから　一口のおすそわけもない
酒宴が開かれている間はテレビの音は小さくして　見た気がしなかった

お客が帰ったあと　　　「おいしいもの」がちょっとは残ってないかと　机の上をみてみるけれど
ほとんど何もない・・・・　　
よおくみると　スモークサーモンのサラダが　おさらにちょっぴり残ってた

母の目をぬすんで　　手でつまんで食べた
たまらなく「おいしいもの」だった

子供心に　とても「おいしいもの」だったスモークサーモンの　オニオンサラダ
今　お正月になると　妹が　たくさん作ってくれる
父の酒宴のあまりしかたべられなかったせいか
わたしにとっての　お正月の最高のごちそうのひとつになっている



さて、生前　母がよく　　「若いころは、お給料が　本代と酒代に消えた・・・・」といっていた
父はよく本を読み、お酒をのんでいたということなのだろうけど
私の記憶の中に残る父の姿は　本を読んでる父ではなく　お酒を飲んでいる父


今日は　父の命日
あの世とやらでは　盛大な酒宴がひらかれているにちがいない




父の好きだったニシン漬け
今年はつけられなかったなあ・・・・