今回の鷹は 皆さん難しかったとおっしゃっていましたが いろいろな方向で鷹の姿を読んでいらっしゃいました。
まずは人選のみなさんから
喧騒に立ち憧憬の鷹を追う
ジオラマのやうな世界に鷹下りて まこさん
まこさん、人選2句おめでとうございます。自分の句が2句並んでるのを見るとびっくりしませんでしたか?うれしさというより驚きから…その後じわりじわりとその驚きが喜びに変わりませんか?
今回の一句目 街のの喧騒の中に立っていると思わず自分を見失いそうになる。そんな時空を見あげて悠々と空を飛ぶ鷹の姿を探す。何事にもとらわれないその姿は 私のあこがれでもあり、あるべき姿でもある。その姿にともすれば見失ってしまいそうな 自分を取り戻すことができる。「喧騒」「憧憬」のこの二文字の熟語が句を引き締めていてかっこいい句ですね。
二句目
自然の中で懸命に生きている鷹が舞い降りてくると 今自分の生きているこの世の中が 作り物のジオラマのように感じてしまう
どちらの鷹も自然と対峙しながら強く生きている様子が伝わってきました。何か大事なものを忘れて日々の生活に追われている私たちに対する鷹からのメッセージを受け取るような句だと思いました。
鷹一瞥し正鵠を射抜くなり ⑦パパさん
鷹はちらりと狙うものを見ただけで 的の中心部をズバリ射抜くように獲物に手に入れる。鷹の鋭い眼光と その素早い動作が目に浮かぶようです。正鵠は調べなければわかりませんでした。いい言葉を一つ覚えました。
鷹翔ぶや離島ゆるりと昼下がり Dr.でぶさん
離れ小島のまわりをゆるりと鷹の飛翔する昼下がり。ゆったりとした風景の中で 悠然ととぶ鷹の姿を目で追っているような感覚になります。風景の広さを感じました。
鷹の目や駅伝コース試走する ツユマメ末っ子くん
鷹に駅伝コースを走らせるという発想に驚きました。「鵜の目鷹の目」という言葉をもちろん知っていて使っているんですよね。注意深く戦いの場を鋭く点検しながら走る選手たちのスピード感あふれる姿を読み込んでいるのでしょう。末っ子君が詠んだ句としてみると 元気の良さ、レースにかけた意気込み、楽しみを感じるけれど 仮に大人が詠んだ句としてみると用意周到な注意深さとか 勝利に対する強い思いなどまだ違うものが見えてきます。
去年はことごとく、マラソン大会も駅伝も中止になりました。今年は 走れる大会あるかなあ・・・・
太陽をついばむ鷹よ鷹となる どくだみ茶さん
鷹が鷹として生きることの厳しさを詠んだ句でしょうか。太陽をついばむことで鷹となるということで、鷹の気高さも感じ取ることができると思います。
塵網を眼下にして遠し鷹は行く 案山子さん
鷹の気高さを詠んだ句ですね。世の中のつまらぬことをはるか下に見下ろして そんなつまらぬことに関わらぬという孤高の姿で鷹は飛んでいく。
かっこいい!!ついついいろいろな雑事に心奪われ心乱すなんてことは鷹にはないのですね。
鷹舞って発破中止になりにけり 季切少楽さん
鷹の飛んでいる姿を見て発破作業を中止にしたという意味でしょうか。そういう優しい世の中であればよいなと思います。山の中で仕事をする荒々しい男性諸君の心は優しいのです。
溺死まで鳥抑える鷹の脚 千鳥城さん
水曜日のお便りコーナーで 千鳥城さんのお便りを読んでいたので 映像が思い浮かび実に衝撃的な一句でした。生きていくうえで 鷹も必死で確実な食糧獲得の方法なのですが 空飛ぶ優雅な姿とは 別な鷹の実情を突き付けられた一句でした。ペットの犬や猫も連れ去られることもあるというお話もあり うちのおとぼけ猫たちを カナダの野に放ったらたちまち食われてしまうのではないかという妄想にびびりました。
並選のみなさん
老眼鏡ずらし見上ぐる鷹斑美し ツユマメさん
下句 「鷹斑美し」 が「たかふうつくし」が7音でも響きはいいと思いました。鷹の飛んでいる姿を遠めに見ている句が多い中に 鷹の羽の模様に目をつけているところがほかにはあまり
ないかなと思いました。
追記 俳句部のみなさん は「鷹斑美し」は 「たかふいし」と読んでいらっしゃいました。
「美し」は「いし」と読むのですね。知りませんでした。これならしっかり5音におさまり整いますね。
鷹強し博多の苦汁今宵なお みほめろさん
この鷹は あの鷹でしょうか・・・
鷹の羽拾って鷹に狙われる 研知句詩さん
鷹の羽を拾ったら 鷹に狙われてしまった…危ないので 鷹の羽は拾わないことにいたしましょう
さいごに よしあきくんセレクト
鷹が舞う気分はすでにアラブ王 かたちゃん
なんか豪快な一句で好きでした。こういう展開はなかなかわいてきません。
なにか読み違いなどありましたらお知らせしていただけると嬉しいです。
みなさん、今回もありがとうございます。次の発表は「水鳥」そして「狐火」と続きますね。楽しみです。
俳句ポスト兼題~鷹~の発表がありました
俳句ポストは 投句された句を 天・地・人・並の4つの評価を頂けます。天は一句、地が10句、そのあと人と並・・数えたことはありませんが、まずは並に選ばれ、次に人に選んでいただくことを目標としています。
今回の「鷹」では 俳句ポストでは3回目の人選をいただきました。「鷹」という兼題はむずかしくて 悩みましたが、今回は六句投句することができました。で、今回選んでいただけたのは・・・・
鷹見しや紅花餅(はなもち)運ぶ帆掛け船
昔、京都へと紅花餅を運んでいたという北前船。帆を張って 進んでいくその船を 空の上から鷹は見ていたんだろうなあ。
最初、鷹の様子を思い浮かべながら句をかんがえていたのですがなかなか思い浮かんでこなかったところで ふと「上杉鷹山」を思いつきました。「鷹山」に「鷹」の一文字が入っているでしょ?上杉鷹山公といえば米沢藩、米沢といえば 紅花が特産物。 紅花染めのもとになる紅花餅(はなもち)を京都への送っていたという史実を思い浮かべての一句となりました。それに着物好きにしてみれば 紅花染の米沢紬は 超あこがれの一品です。
下五の「帆掛け船」を「北前船」にしたほうがいいか迷ったけど、紅花餅という言葉もすでに入っているし、何より字余りになっちゃうし・・・最後まで迷った結果 帆掛け船 と北前船で終わる句を両方投句しちゃいました。結果選んでいただけたのが 「帆掛け船」の句。きちんと5音でまとめて正解でした。