彼女と出会って早二ヶ月。
でも、もう彼女を追いかけるのはヤメにする。
今日の午後、駅前の本屋に行った。
何気なく向けた視線の先に、見慣れた女性の姿。
「あ、コーヒーねーたん……」
あの愛嬌のあるロリ顔と推定Fカップの巨乳はまぎれもなく彼女。
彼女はインテリア雑誌コーナーで立ち読みしてる。
びっくりしてその場で金縛り状態。
そりゃそうだ、夢の中とパチンコ屋以外で、しかも本屋で遭遇するなんて。
が、固まってはいても目だけは彼女を見つめ続けた。
ああ、やっぱりカワイイ。
夢の中では裏原系だっだが、現実の私服も裏原系、似合ってる。
しばらく見つめた後、意を決して声をかけてみることにした。
パチンコ屋では他の店員が気になって声をかけられなかったが、ここは本屋、怖いおにーさんの目を気にすることもない。
それに一応知り合いだし(パチンコ屋の店員と客の仲だが)、声をかけても決してナンパではないのだから(たぶん)、本屋の店員にマークされることはなかろう。
妄想狂いの日々に終止符を打つ。活路を開くのだ。
早速彼女のいるコーナーに足を向けた。
俺様は彼女の隣に立った。
……ああ、やっぱり緊張して声をかけられない。なんて意気地なしの俺。
とりあえず雑誌を読んで、彼女が気付くまで待つことにした。
毎回毎回ミルク多めのコーヒー頼んでる客が隣で立ち読みしてれば、いずれ気付くだろう。
それに彼女自身、俺様の注文が『ミルク多め』だと言うことを知っている。最近では何も言わなくてもコーヒーミルク多めで持ってくる。これは大きな強みだ。
首にネギ巻いていつもやってくる常連客が、場所が本屋でも隣にいれば気付かないはずがない……。
と、思ったのだが、しばらくたっても彼女は気付かない。アレ?
咳払いしたり無造作に雑誌を置いてみたりと、俺様の存在をアピールしたのだが一向に気付かない。夢中でインテリア雑誌読んでる……。
「あかん、これじゃ一生気付かれないかも」
焦燥は時として行動力を引き出してくれるもので、今まで声もかけられずウジウジしてた自分が嘘のよう、彼女が気付くのを待ちきれずに俺様は声をかけた。
俺様「あのう……。」
彼女「……?」
な、なんだこの反応の無さは。
断腸の思いで声かけたのに。ガックシ。
しかも目の前に常連客(俺様)がいるってのに気付かない、もしかして天然不思議ちゃんかこのコは。
仕方ない、もう一度。
俺様「あのう……。」
彼女「はっ?」
お、おかしい。
もしかして俺様のこと、覚えてないのか?
俺様「ボクのこと、わかりません?」
彼女「ど、どちら様ですか?」
……まったく覚えてないみたい(泣)。
そのまま何も言わず本屋から出てきた。
しょせん店員と客、毎回コーヒー注文する常連でも他人、店を出ても他人。とは言ってもサービス業なんだから常連客の顔ぐらいは覚えるでしょと思うのだが、ホントに覚えてないとは恐れ入った。
今までバカの一つ覚えみたくミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。
彼女に顔を覚えてもらおうとミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。
家に帰ってショックで寝込み……とはいかなかった。
むしろ、清々しい気分だ。
ベランダに出て、初夏の風を胸いっぱいに吸い込んでみた。
もうすぐ暑い夏がやってくる、か……。
彼女と出会って二ヶ月。
王子様のキスで眠りから目覚めた白雪姫のようだ。
俺様の場合、王子様のキスではなくコーヒーねーちゃんの暴言だったが。
さて、今度はいつ誰に『毒リンゴ』を食わされるのか、楽しみだ。
でも、もう彼女を追いかけるのはヤメにする。
今日の午後、駅前の本屋に行った。
何気なく向けた視線の先に、見慣れた女性の姿。
「あ、コーヒーねーたん……」
あの愛嬌のあるロリ顔と推定Fカップの巨乳はまぎれもなく彼女。
彼女はインテリア雑誌コーナーで立ち読みしてる。
びっくりしてその場で金縛り状態。
そりゃそうだ、夢の中とパチンコ屋以外で、しかも本屋で遭遇するなんて。
が、固まってはいても目だけは彼女を見つめ続けた。
ああ、やっぱりカワイイ。
夢の中では裏原系だっだが、現実の私服も裏原系、似合ってる。
しばらく見つめた後、意を決して声をかけてみることにした。
パチンコ屋では他の店員が気になって声をかけられなかったが、ここは本屋、怖いおにーさんの目を気にすることもない。
それに一応知り合いだし(パチンコ屋の店員と客の仲だが)、声をかけても決してナンパではないのだから(たぶん)、本屋の店員にマークされることはなかろう。
妄想狂いの日々に終止符を打つ。活路を開くのだ。
早速彼女のいるコーナーに足を向けた。
俺様は彼女の隣に立った。
……ああ、やっぱり緊張して声をかけられない。なんて意気地なしの俺。
とりあえず雑誌を読んで、彼女が気付くまで待つことにした。
毎回毎回ミルク多めのコーヒー頼んでる客が隣で立ち読みしてれば、いずれ気付くだろう。
それに彼女自身、俺様の注文が『ミルク多め』だと言うことを知っている。最近では何も言わなくてもコーヒーミルク多めで持ってくる。これは大きな強みだ。
首にネギ巻いていつもやってくる常連客が、場所が本屋でも隣にいれば気付かないはずがない……。
と、思ったのだが、しばらくたっても彼女は気付かない。アレ?
咳払いしたり無造作に雑誌を置いてみたりと、俺様の存在をアピールしたのだが一向に気付かない。夢中でインテリア雑誌読んでる……。
「あかん、これじゃ一生気付かれないかも」
焦燥は時として行動力を引き出してくれるもので、今まで声もかけられずウジウジしてた自分が嘘のよう、彼女が気付くのを待ちきれずに俺様は声をかけた。
俺様「あのう……。」
彼女「……?」
な、なんだこの反応の無さは。
断腸の思いで声かけたのに。ガックシ。
しかも目の前に常連客(俺様)がいるってのに気付かない、もしかして天然不思議ちゃんかこのコは。
仕方ない、もう一度。
俺様「あのう……。」
彼女「はっ?」
お、おかしい。
もしかして俺様のこと、覚えてないのか?
俺様「ボクのこと、わかりません?」
彼女「ど、どちら様ですか?」
……まったく覚えてないみたい(泣)。
そのまま何も言わず本屋から出てきた。
しょせん店員と客、毎回コーヒー注文する常連でも他人、店を出ても他人。とは言ってもサービス業なんだから常連客の顔ぐらいは覚えるでしょと思うのだが、ホントに覚えてないとは恐れ入った。
今までバカの一つ覚えみたくミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。
彼女に顔を覚えてもらおうとミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。
家に帰ってショックで寝込み……とはいかなかった。
むしろ、清々しい気分だ。
ベランダに出て、初夏の風を胸いっぱいに吸い込んでみた。
もうすぐ暑い夏がやってくる、か……。
彼女と出会って二ヶ月。
王子様のキスで眠りから目覚めた白雪姫のようだ。
俺様の場合、王子様のキスではなくコーヒーねーちゃんの暴言だったが。
さて、今度はいつ誰に『毒リンゴ』を食わされるのか、楽しみだ。