10日(土)、11(日)の二日間、都内の山岳同人Kの有志らによるセルフレスキュー講習が、西多摩郡奥多摩町の愛宕山(あたごやま)園地でありました。私も10日のみ参加。計12名で、山における包帯法、搬送法、ロープワークなどを練習しました。
最初に、都岳連遭対委員でもあるK代表のT氏が、山の救急法における概論を説明。
・地理的に隔離され、(街中のように)救急車は来られない
・救助用具が限られている(あるものをうまく使う)
という山特有の条件を示した上で、
・救助者の二重遭難の防止(無理は絶対にしない)
・(医師に引き継ぐまでの)応急救護を行うのが目的
という点を、確認されました。
以下、10日の主だった内容です。
「人間の全血液量は体重の約1/13にあたる。体重60kgの人の血液量は約4.5?。そのうち1/3(1.5?)が急速に失われると、生命に危険が及びます」とT氏。
「500m?でこのくらい」とペットボトルの液体を流し、まず出血量を感覚的にイメージしてもらいました。「どんなに出血していても、あきらめないで」とも。
〈包帯法(三角巾)〉
・結び目は患部を避ける
・結びは、解きやすい「本結び」で
・負傷者に声を掛けながら、状態を聞きながら行う
〈搬送法〉
ヒューマンチェーン法(6人一組)
・負傷者を持ち上げる前に、手の組み方を確認する
・リーダーの掛け声のもと、負傷者を一旦救助者の膝の上に載せる
持ち上げて搬送します。
・進行方向は、負傷者の足方向へ(負傷者に不安を与えないため)
・ただし、上り坂では頭から、下り坂では足から
カッパを使った搬送法
・カッパ上下を、抜けないよう“止め”を入れてスリング結束
・両手両足部分を本結びで結束
・負傷者のお尻が乗る部分に緩衝材のマットなどを入れる
ザックを使った搬送法
背負い搬送法は、スリングを使う方法、カッパを使う方法、ザックを普通に背負う方法、ザックを逆さまに背負う方法などをやりましたが、「救助者、負傷者ともに一番楽」との評価を得たのは、このザックを普通に背負う方法でした。
〈シミュレーション〉
これまでのパーツを駆使して、負傷者の発見から応急処置、安全な場所への搬送まで、模擬救助活動を行いました。
・まず周囲の安全確認と自分たちの安全確保
・負傷者へのこまめな声掛けと観察
・救助者同士の声掛けとチームワーク
が何よりも大切です。
私は、女性4人チームに救助してもらいました(?)が、声掛けと扱いに女性特有の温かさがあり、とても安心な気持ちになりました。また女性4人でも、ヒューマンチェーン法で何とか運ぶことができることがわかりました。(もちろん体重制限はありますが…笑)
男性陣も含めて、初めての方が多かったにも関わらず、皆さんとても落ち着いた対応をされていました。
〈ロープワーク〉
ダブルフィッシャーマンズノット、フィギュアエイトノット、クレムハイストなどの基本的な結びを学んだあと、固定ロープを使い危険個所を安全に通過する練習を行いました。ロープワークを山でスムーズに使うためには、繰り返し練習して「身体で覚える」ことが大切ですね。
ちなみに2日目の本日は、奥多摩消防署において心肺蘇生法、止血法を受講したあと、やはりこの愛宕山園地で引き上げシステムなどを練習したそうです。
自然の奥深くへ入る登山者の心構えとして、「山の救急法」は日ごろから意識して取り組んでおきたいものですね。プロのチームレスキューや医師に引き渡すまでの「応急処置」次第で、要救助者の生命はもちろん、その後の人生も決まることがあります。
参加された皆さん、大変お疲れ様でした。
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