9月26日、北アルプス/槍ヶ岳・北鎌尾根で7月下旬から行方不明になっていた単独行男性(27)の遺体が、約2ヶ月ぶりに発見されました。
「天狗の腰掛」と呼ばれるピークの天上沢側下方約200m地点で、長野県警のヘリが確認。北鎌尾根への取り付きである北鎌沢を詰めていた際、上部で(右俣に行くべきところを)左俣に入り込み、行き詰まって滑落した可能性が高いとのこと(詳細は未発表)。
遭難者のご両親の強い希望で、山仲間や東京都山岳連盟救助隊による捜索活動が続けられていましたが、積雪が来る前にご家族の元へ帰ることが叶いそうです。ご両親の、我が子を想う強い気持ちが引き寄せた奇跡にも思えます。
昨年同じ場所を訪れているだけに、登山者の一瞬のスキを突く山と自然の怖さ、バリエーション・ルートのリスクマネジメント等について改めて考えさせられる事故でした。かけがえのない教訓として、今後の登山、そして遭難防止活動に活かしたいと思います。
志半ばで逝った若い命のご冥福を、心よりお祈りいたします。
合唱
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確かに、えいさんのように「バリエーションにも指導標をつけるべき」という考え方の人もいるでしょう。
以下、(長文ですが)私の私見です。
私は「鎖やハシゴ、ペンキも塗れば遭難者は確実に減る」とは思いません。実際、案内板や指導標が整備されつくした感のある東京の山(高尾山・奥多摩)でも毎年100件以上(H27年は135件・死者行方不明者6人、全国4位)の山岳遭難が発生している事実をご存知でしょうか?しかも、その大半は道迷いが直接的な原因になっています。
ましてや南ア鋸岳や妙義山など、バリエーションに鎖を付けたことで力量不足の登山者が入り込み、逆に遭難が増加している山域も枚挙に暇がありません。
時代は変わっても、装備が進化しても、スマホで情報が簡単に得られる時代になっても、指導標が整備されても、山そのものはほとんど変わりません。自然相手の山登りに絶対的な安全はないのです。
多くの人にとって山登りは「遊び」。でも一歩間違えば「死ぬこともある遊び」-山に入るすべての人がまずそのことを認識し、様々なリスク(道迷い・転滑落・天候の急変・疲労・危険な動植物…)に対する体力・知識・技術を身に付けて、謙虚な気持ちで山と自然に向かうことしか、悲惨な遭難を予防する根本的な解決法はないと考えます。
それでも、遭難を100%避けられないでしょう。しかし登山者としてレベルアップすることで、各種リスクを確実に低減させることができ、「最悪の結果(=死)」は免れることができるかもしれません。
最悪の場合は…厳しいようですが、結局自ら引き受けるしかないのだと思います。(遭難は家族や救助隊など多くの人を巻き込むので実際には“自己責任”では済まないが)
したがって私は、バリエーションに指導標や鎖を付けるのも反対です。そうした施設の多くは、国や自治体が税金を使い整備していますが、「広く一般的でない」バリエーション登山にどこまで税金を投入するかという現実的な問題もあります。
何より、どんなスポーツもそうですが、上達しようとすればするほど(山のグレードを上げれば上げるほど)、さらなる練習が必要になるものです。
楽しみながらも、努力をして目標を達成した先に達成感や喜びが生まれる。それが登山の魅力である以上、ルートを画一的に整備するよりも、多様な環境が残されている方が自然相手のスポーツにふさわしいと考えるからです。