12/24~27に行った南アルプス・北岳山行の《後編》です。
<26日/風雪のち曇り>
5:00起床。
雪がパラついてはいるが、風は弱まった様子。ラジオでは、午後から再び寒気が強まるとの予報。
7:00「無理せず行けるところまで」とT氏と申し合わせ、標高2500mのテン場を後にしました。気温-15℃。
それにしても、昨日あれだけ疲労していたにも関わらず、頂上アタックとなると不思議に力が湧いてくるのが、山ヤ(もう死語?)の悲しい性です(笑)。荷物も行動食、ツェルトなどの必要最低限のみで軽い!
標高2700m付近までは、ひたすら樹林帯の中のラッセル。
東の空に、一瞬覗いた朝陽に勇気づけられます。生命にエネルギーを与えてくれる太陽の力を、実感。
途中、池山御池小屋で出会った単独男性に追い抜かれました。「ラッセルありがとうございます」の言葉とともに、つぼ足(登山靴だけ)で力強く先行して行きました。(写真真ん中やや左)
森林限界を抜けた標高2750m付近で、私たちも、スノーシューからアイゼン、ピッケルに切り替えました。
ここからは、吹きさらしの稜線。
時に風速20m/s(何かにつかまらないと転倒する)ほどの北~北西風が吹き荒れる、かと思うと、反対側の南方向からも意表を突くように強風がぶつかってくる…翻弄されました。
-16℃の気温に、カメラの動作も緩慢に(私のカメラは一応-10℃まではOKなのですが…)。写真を撮るゆとりも、あまりありませんでした。
10:30 標高2900mの八本歯ノ頭(はっぽんばのかしら)に到着。
ここから先が、北岳への核心部の岩場となります。頂上までは、条件がよければ1時間余り。しかし未知のルートの上、風雪でほとんど視界が利かないため、本日はここで断念することにしました。
ラッセル、雪、風、ホワイトアウト…“らしい”冬山のおもてなしに、充実感ありこそすれ、悔しさはあまり感じませんでした。
帰路も…
強風のため、先ほど付けたトレースはほとんどかき消されていました。
12:30 テントへ帰着。
二人とも疲れを隠せませんでしたが、「明日天候が回復したら再度アタックしよう」と確認。そのまま宴会?に突入しました。
ちなみに、先の単独男性はあのまま頂上に立ったそうです。スゴイ…。
19:00ころ就寝。
この夜はひと晩中、地鳴りを伴うような強風が吹き荒れていました。幸い、テントを設営した場所が良かったため、直接風の洗礼を受けることはありませんでしたが、頭上の樹々の幹や枝葉が大きくきしむ音が…倒れてくるのでは!?と、気が気ではありませんでした。
<27日/曇りのち晴れ>
5:00起床。
前夜の強風と朝の天候から、昨日と同じような条件になりそう…と判断し、結局このまま下山することにしました。後ろ髪を引かれる思いでしたが、あの風雪にはかないません。
8:00テントを撤収して下山開始。気温-15℃。
次第に雲が切れ始めた北側には…
先月訪れた甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ・2967m)。雪化粧した三角垂が、朝の光の中に幻想的に浮かび上がっていました。
幹の途中から真っ二つに折れたオオシラビソの高木。まだ青い枝葉を見ると、比較的最近倒れたもののようです。雪か風が原因?ゾーッ…(汗)
9:20池山御池小屋着。中に、ある侵入者の痕跡が…
おそらく、イタチ科のオコジョかテンだと思われます。でも、締め切った小屋にどうやって入ったのでしょう?
発見!
手前の枯れ木から屋根の上へジャンプして…
屋根下の格子へ足跡が一直線。わずか3~4cmの格子の間から入ったように見えるのですが…。それとも、他に秘密の入口があるのでしょうか?
佐渡島でトキの飼育ケージにわずかな隙間から侵入したテン(は悪くない)で有名になりましたが、野生動物たちの、人間の予想を超えた行動には驚かされます。
11:10歩き沢橋着。今回の山行中、太陽のぬくもりを全身で感じることができた、初めての瞬間でした。
再び、奈良田への長い舗装路歩きが始まると…
トンネルの中、あちらこちらに立派なツララが。そして…
車道脇の滝も凍りかけていました。
いずれも、3日前の入山日には見られなかったもの。私たちは予想していたとはいえ、寒波が一番強まるタイミングで入山していたようです(苦笑)。
14:35奈良田帰着。
最後の車道歩きはやはり応え、足も肩も悲鳴を上げていました。
標高差約2300m、片道20km以上という山の大きさもさることながら、さまざまな条件が重なり、冬の北岳の頂がこんなにも遠いものなのか…と痛感。少しほろ苦さの残る、今年最後の山行になりました。
Tさん、1年間ありがとうございました。
おわり
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長~いアプローチがネックだよねぇ。
そうですね。何が一番応えたかというと、アプローチの舗装路歩きでしょうか。池山吊尾根も、ダラダラと長い!ですね(笑)
晴れていれば、ボーコン沢の頭あたりから望める(はずの)北岳の姿をまったく拝めなかったのが、心残りでした。