多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

都心の空にタカが舞う/浜離宮恩賜庭園

2011-01-03 18:31:07 | 日々のこと

2日、浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん=国特別名勝・特別史跡、東京都中央区)を訪れました。3回目。

正月明けに訪れるのは昨年に続き2回目ですが、その目的は…
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「諏訪流放鷹術(すわりゅうほうようじゅつ)」、つまり鷹匠(たかじょう)の技を見るためです。(幟が裏返しになっていますが…)


《飼いならしたタカを放って野生鳥獣を捕らえさせる猟法を鷹狩り、鷹匠の技を放鷹術といい、約6000年前に西アジアで始まり、日本には4世紀ころ伝えられた~(中略)~鷹狩りの技術は伝統文化であることはもちろん、現在は、希少な猛禽類の保護や繁殖にも重要な意味を持っている》
(公益財団法人・東京都公園協会資料より)

諏訪流放鷹術は、江戸時代、徳川将軍家お抱えの鷹匠集団の一つ。信州諏訪大社で行われていた、タカが捕らえた鳥を神前にお供えする神事に由来しているそうです。

当日1回目の開始時間は11:00。20分前に会場を訪れると…

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この人だかり。昨年の倍近くはいるような…。めでたいお正月、「一 富士、二 鷹、三 茄(いち ふじ、に たか、さん なすび)」なんて言いますもんね。
(というわけで今回の写真、遠くから望遠で撮影しているため、お見苦しい点もあるかと思います。ご了承ください)

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鷹匠とタカのお披露目。左の人は女性。昨年もいらっしゃいました。

その腕に控えるタカは、左がハヤブサ(隼/タカ目ハヤブサ科)、右はオオタカ(大鷹/同タカ科)の若鳥のようです。ちなみにこの鳥たち、日本国内では厳重に保護され狩猟禁止になっているため、すべてロシアやフィンランドなど海外から輸入されたものだそうです。

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まずは、オオタカを使った「振替(ふりかえ)」の技。P1040236
鷹匠の拳から別の鷹匠の拳へタカを飛び移らせ、他人に馴らすのが目的です。

上空には…
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トビ(鳶)がしきりに低空飛行をしています。もの珍しいのでしょうか。ちなみにこのトビも、れっきとしたタカの仲間です。

「据替(すえかえ)」の技。
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鷹匠以外の人の拳にタカを止まらせます。来場者の中から、幸運な希望者数名が体験しました。タカの種類は、ハリスホーク(英名/和名モモアカノスリ)という南米原産の鳥。

その他、樹上にいるタカを拳に呼び戻す「渡り(わたり)」の技も披露されました。

そして、今日のメーンイベントがこれ!
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庭園すぐそばにある電通本社ビル(高さ約210m)屋上からの、ハヤブサの急降下です。

鷹匠が上から鳥を放ち、下では別の鷹匠が細紐をつけたハトを振り、呼びよせます。「振り鳩(ふりばと)」の技。屋上には、鷹匠の姿(写真真ん中上)。

実はこの技、昨年3日の演技では、放たれたハヤブサがそのままどこかへ飛んで行ってしまいました。都会では、ビル風や野生のハヤブサ、カラスなどの襲撃もあって鳥が目標を見失い、こうしたハプニングもまれに起きるようです。

というわけで今年こそ…という思いで待ち構えていました。
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放たれたハヤブサは、しばらく上空高くを旋回(写真真ん中やや左上)。一時、あらぬ方向へ向かったためドキドキしましたが、次第に会場上空へ旋回しながら高度を下げ…
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身をひるえがしたかと思うと、目にも止まらぬスピードでほぼ垂直に急降下、下から放たれた白ハトを一瞬で蹴落とし、二度目の攻撃で見事にキャッチしました。(写真上端。一瞬のことでこれが限界…)

そのスピードは時速300km以上と言われますが、あまりのダイナミックさに会場からは大きなどよめきが。私も、鳥肌が立ちました。野性の能力を見せつけられた瞬間でした。

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帰って来たハヤブサ。お疲れ様でした。

今日の主役たちのお披露目。
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オオタカ。眼光が鋭い。でも、非常に繊細な動物なんだそうですよ。

この個体は、キジ(雉/キジ目キジ科)を狩るのが得意とか。タカの仲間は基本的に、親鳥から餌として与えられた動物を、成長しても狙うようになるのだそうです。

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鋭い爪。

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ハヤブサ。警戒心が強く、落ち着かせるために特製のマスクで目隠しをしています。ちなみに、私が一番好きな鳥でもあります(笑)。

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こちらはハリスホーク。野生では、兄弟で力を合わせて狩りをするそうで、どこか温和な雰囲気が印象的でした。


その他本日は、ハトより少し大きいチョウゲンボウ(長元坊/同ハヤブサ科)やミミズク?なども姿を見せていました。

生態系の頂点に立つ猛禽類は、日本では開発などのために生息環境が脅かされているものが少なくありません。これらの動物のこと、そしてそれを取り巻く自然環境のことを知るためにも、鷹匠の伝統文化を引き継いでいく重要性を感じました。

ここまで放鷹術のことを紹介しましたが…この浜離宮恩賜庭園は、日本を代表する池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)の一つです。
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江戸時代の大名庭園に多く、池の周囲などを歩きながら池泉を観賞する様式。東京湾の海水をそのまま引き入れた「汐入の池」(写真)が、本庭園の特徴です。

承応3(1654)年、四代将軍・徳川家綱の弟 松平綱重が、海を埋め立てて甲府浜屋敷と呼ばれる別邸を立てたのが始まりとか。

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約25ha(250000㎡)の広大な敷地は、人間はもちろん、野生動物たちにとっても大都会のオアシス。本日も、羽を休めるカモたちと多くの来園者で賑わっていました(笑)。

ついでに…
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ふるさと広島風お好み焼きの出店も大行列で、結局食べられませんでした(苦笑)。

都内の大名庭園、六義園(りくぎえん)や小石川後楽園(こいしかわこうらくえん)などを観賞して、個人的にいつも感心すること…
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「三百年の松」に象徴される…
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大木が多いことと…
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高木がよく手入れされていること。これはタブノキ(椨の木/クスノキ科)ですが、ふところ枝や込み枝、枯れ枝などが見事に剪定されています。したがって、陽がよく差し込んで樹勢もよい。

地方の大名庭園ではなかなか見られないように感じます。単に財力の差もある?のかもしれませんが、数少ない都心の緑を丁寧に、大切に管理する東京都の姿勢が伝わってきます。

小さな春を発見…!?
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ロウバイ(蝋梅/ロウバイ科)の花が、広大な庭園の片隅で咲いていました。

(正月早々長文を読んでくださり、ありがとうございました)

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