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多摩の暮らしと山のブログ

ファーストエイド研修へ

2017-09-14 19:00:03 | 山のこと
9月9~10日、日本体育大学・健志台キャンパス(神奈川県横浜市)であった(公社)日本山岳ガイド協会の「ファーストエイド研修」に行きました。







3年に一度のガイド資格更新研修。研修内容は「ルートガイディング」「気象」「読図」「自然観察技術」「ロープワーク」などから選択することができますが、私はいつも危急時対応の科目を選ぶことにしています。「危険予知と回避」「救急法」「搬送法」「救助要請」…この分野も幅広く、医療の発達や装備の進化に伴い、その考え方や手法も常に変化しているため「最新のもの」を身に付けておきたいからです。何より、「めったに使うことのない」(使わない方が良い!)知識・技術のため、常に意識してトレーニングをしておかないと、万が一の際に対応できなくなるのが不安なのです。(苦笑)

ファーストエイド関係の講習は、同協会のものを含めて山岳団体や消防など数多く受けてきましたが、今回の研修が一番質が高く、内容が充実していると個人的には感じました。

何よりも良かったのは、講師陣全員が現役の救命センター医師や救急救命士であったこと。ファーストエイド総論に始まり、人体の仕組み、生命を維持する生理学的機能、各種臓器の構造や働き、各種疾病のメカニズム等について、専門的知識と豊富な臨床現場での事例を織り交ぜた解説が的確でわかりやすく、「なるほど、そういうことだったのか!」とストンと落ちる(理解できる)場面が数多くありました。

振り返ると、これまでは「人間の身体」についてきちんと理解できていないため、表面的な救助の流れや処置ばかりに偏っていたように思います。こうした医学的知識が多少なりともあれば、例えば「呼吸回数が減っている人には今何をしてあげるべきか」と自然に予測できるようになり、スムーズな応急処置が可能になると感じました。

野外におけるファーストエイドの基本的な流れは、
1.状況評価
2.傷病者の評価(初期評価)※
※A(Airway=気道)B(Breathing=呼吸)C(Circulation=循環)D(Disability=意識レベル)
3.傷病者の重症度・緊急度の評価
4.傷病者の全身観察
5.状態に応じた処置
6.搬送手段の決定
ですが、個人的には2~4が特に難しいと感じます。

各論としては理解しているつもりでも、全体のシミュレーションを行うと(講習中であっても)気持ちに焦りが出てなかなか思うように行えない。フィールドが山岳地帯という厳しい環境であることを考えると、日頃から繰り返しイメージトレーニングとシミュレーションをして、身体に覚え込ませるしかないと改めて実感しました。

そういう意味で「救命士の卵」である同大学保健医療学部の学生による要救助者の初期評価や全身観察の模範演技は、素晴らしかった。穏やかな声かけ、淡々と冷静に、全身に触れながら要救助者の全身を観察していく姿を、私も心に刻んでおきたいと思います。

医療の専門家ではない私たちが、医療器具もない現場でできることは限られています。だからこそ一番大切なことは「常に評価すること」。評価を繰り返すことで変化する要救助者の容態を把握することができ、それが適切な処置につながる。さらに、その評価を医師や救急救命士に引き継ぐことが迅速な治療を生み、最悪の結果(死亡)を食い止め、最終目標である要救助者の「早期社会復帰」を可能にする-というお話が印象に残りました。

ぜひまた受けたい!と思える研修でした。ありがとうございました。



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