パタゴニア紀行
宮本正男
闇に溶ける影
部屋へ戻る途中、ふと視線の端に黒と白の影が動いた。近づいてよく見ると、それはスカンクだった。尾をふわりと膨らませ、慎重に足を運びながら、静かに夜の闇へと紛れていく。
狂犬病を持つことがあるため、ホテルでは餌付けなどはしないという。それでも、この小さな生き物がパタゴニアの広大な大地でひ . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
ロッジ・セロギドこれが我々の部屋のあるロッジ・セロギド本館。パタゴニアの大地にひっそりと佇むこの宿は、どこか懐かしさを感じさせる趣のある建物だ。木製の窓枠と赤い屋根が印象的で、遠くからでもよく目立つ。外観は素朴ながら、内装は暖かみのある雰囲気で、広々としたガラス張りのサンルームからは、パタゴニアの雄大 . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
ピンゴ川に架かる吊り橋を渡り、最終目的地のグレイ湖へと向かう。この吊り橋は一度に6人までしか渡れない決まりで、係員の合図を待って慎重に進む。足元は木製の板が敷かれているが、歩くたびに大きく揺れ、思わず足を踏ん張る。眼下に流れるピンゴ川の水は灰色がかって速く、吊り橋の頼りなさに少し緊張するが、それもまた . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
チリのプエルト・ナタレスからNIKKOトラベルの小型バスに乗り、パイネ国立公園へと向かった。バスは朝早く街を離れ、一路北へと走りだした。トーレス・デル・パイネ国立公園はチリの首都サンティアゴから南へ約3,000キロ、パタゴニアの深奥に位置している。1959年に国立公園に指定され、広さは約2,400平方キロ . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
プエルト・ナタレス
カラファテで翌日のチリ国プエルト・ナタレス行きのバスチケットを購入する。アルゼンチンからチリへと国境を超える旅になる。今度はトイレ付きのバスだ。長距離バスでプエルト・ナタレスへ5時間の旅。
四泊したホステル・ケルタを出発する。外観は鮮やかなピンクで、正直言って私の趣 . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
木製の道標が、これから進むべき道を示している。左はカプリ湖(Laguna Capri)へ向かう往復2時間半のコース。比較的短時間で美しい湖を眺めることができる。対して右は、フィッツロイ展望台(Mirador Fitz Roy)への道。往復6時間半の長い行 . . . 本文を読む
エルチャルテン・フィッツロイ
パタゴニア紀行 ~氷河の夢とフィッツロイへの道~
ペリト・モレノ氷河を訪れるという長年の夢が叶った。エル・カラファテの街からバスに揺られ、氷河が姿を現した瞬間、その圧倒的な存在感に息をのんだ。青白く輝く氷の壁は、高さ60メートルにも及び、まるで地球の鼓動を感じるかのように、時折轟音とともに崩れ落ちる。
展望デッキから眺める氷河の雄大さに心を奪われ、さらにボー . . . 本文を読む
広大なパタゴニアの大地、その静寂を切り裂くように、鷲が柵の柱に佇んでいる。羽根は風にわずかに揺れ、鋭い眼差しが遠くの地平を見据えている。その姿は、この果てしない荒野を見守る孤高の番人のようだ。
バスの窓から眺める景色は単調に思えるが、ふとした瞬間にこうした生命の躍動に出会うと、旅の意味がふくらんでくる。ペリト・モレノへ向かう道のりもまた、旅そのものがもつ静かなドラマの一幕なのかもしれない。
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パタゴニア紀行
宮本正男
夕映えのネメス湖
19時半、部屋の窓から眺めるネメス湖は、夕焼けに染まりながら静かに広がっていた。空には淡いピンクと深い青が溶け合い、雲がゆっくりと流れていく。遠くに横たわる山々のシルエットが湖面に映り、パタゴニアの大地に深い静寂をもたらしている。
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パタゴニア紀行
宮本正男
タンゴの夜、ブエノスアイレスにて
その夜、アルゼンチンタンゴの店に足を踏み入れた。暗がりの中、テーブルに置かれたキャンドルの灯がほのかに揺れる。静かなざわめきの奥で、バンドネオンの音が響き、ゆっくりとステージの幕が上がる。
アルゼンチンタンゴは、この . . . 本文を読む
パタゴニア紀行
宮本正男
ブエノスアイレス
カナダのトロントからサンチャゴを経由してやっとブエノスアイレスについた。地球の裏側にやってきたとの感を深めていた。日本の地面を垂直に掘り進めるとブエノスアイレスにたどりつくとよくジョーク混じりに言われるが、なんだか他の天体にやってきたよう . . . 本文を読む
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の口論 キューバ危機以来の緊張で視聴したトランプ大統領とゼレンスキー大統領の口論動画をメモしておく。https://news.yahoo.co.jp/articles/b10e0809fd5bb4c961f539bed89beecde0970f94?page=6
岩田太郎氏の腑に落ちる分析。
国際政治の基準が、トランプ大統領により「リベラルな価値観に基づく . . . 本文を読む
紀野一義氏を数年前に、このところは佐々木閑氏に関心を持ってお二方から主としてYouTubeで学ばせていただいた。両氏とも膨大な動画を残されているので大変な恩恵にあずかることができる。
このお二人の仏教伝道の巨人は極北の仏教観をお持ちだ。日本の仏教にある程度慣れ親しんだ方は佐々木閑氏の仏教観をしれば衝撃を受けるのではないか。「真理の探究」仏教と宇宙物理学の対話 佐々木閑 大栗博司 では以下のように . . . 本文を読む