まさおレポート

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パイネ国立公園 ハイライト9

2025-03-09 | 紀行 チリ・アルゼンチン

チリのプエルト・ナタレスからNIKKOトラベルの小型バスに乗り、パイネ国立公園へと向かった。バスは朝早く街を離れ、一路北へと走りだした。
トーレス・デル・パイネ国立公園はチリの首都サンティアゴから南へ約3,000キロ、パタゴニアの深奥に位置している。1959年に国立公園に指定され、広さは約2,400平方キロ。雄大な山岳地帯、氷河、原生林、美しい湖など、多彩な自然が織り成す壮麗な風景が旅人を惹きつける。「パイネ」とは現地の言葉で「青」を意味し、その名の通り、深く美しい青色の湖や氷河が目を楽しませてくれる。

毎年、トレッキングを楽しむために世界中から10万人を超える観光客が訪れ、なかには一週間かけてゆっくりとパイネの大自然を味わう人も少なくないという。我々はチリのプエルト・ナタレスからNIKKOトラベル会社の小型バスに乗り、1日の短いツアーでこの魅力あふれる公園周辺を巡る。アルゼンチンのロス・グラシアレス国立公園とは国境線を挟んで隣接しており、この地域一帯が南米大陸の貴重な自然遺産として大切に保護されている。

途中でミロドンの洞窟(クエバ・デル・ミロドン)に立ち寄った。この洞窟は、約1万年前に絶滅したとされる巨大なナマケモノ、ミロドンの化石が発見されたことで知られる場所だ。入り口には実物大のミロドンのぬいぐるみが設置され、その大きさに驚く。太古の時代、この地を闊歩したミロドンを想像すると、パタゴニアの歴史がより深く心に響いてくるようだった。

パイネ国立公園の入り口近く、アマルガ湖にさしかかると鮮やかなピンク色のフラミンゴが優雅に飛んでいるのが見えた。青緑に輝く湖面すれすれを滑るように飛ぶその姿は、まるで風景の一部であるかのように調和して美しい。自然が描く芸術とは、まさにこのような光景のことを言うのだろう。

アマルガ湖の湖岸には、美しいフラミンゴの群れが羽を休めていた。淡いピンクの羽毛に紅色が差し込み、くちばしと羽根の先端の漆黒が印象的だ。フラミンゴ自体はアジアでも見たことがあるが、パタゴニアの大自然の中で見るそれは、ひときわ色鮮やかで清々しい。この地にはアルゼンチンに生息する3種類のフラミンゴの一種が棲息しており、このような光景に出会えることも、パタゴニアを旅する喜びの一つである。

途中で休憩したところからは、パイネらしい山並みが遠くに広がっている。右の方に目を向けると、青白く輝く氷がゆったりと水面を漂っているのが見えた。これもまた、流氷というのだろうか。かつて訪れたモレノ氷河と同じ色調を持つ神秘的な氷だ。太陽が雲の向こうへ隠れると、湖は見る間にシルバー色に染まり、あたりの景色を一変させる。思わず息をのむほど荘厳な一瞬だった。

ダーウィン・レアは現地語で「ニャンドゥ」と呼ばれる。ダチョウに似ているが、それよりもかなり小柄で、背丈は90100センチほどだ。驚いたことに、この鳥たちは人をあまり恐れないのか、こちらのすぐそばまで近寄ってくる。大きくて美しい瞳はとても穏やかで、羽根も汚れひとつない。パタゴニアの荒野やアンデスの高原を時速60キロもの速さで駆け抜けるというが、残念なことに絶滅寸前とも言われている。そんな希少な生き物に出会えたことは、とても幸運だった。

湖の反対側を望むと、定規でなぞったかのように美しく整った二等辺三角形の山がそびえていた。こんなにも均整のとれた山容を見るのは初めてだ。その幾何学的な姿にしばし目を奪われる。自然の不思議な造形に出会えることこそ、旅の大きな楽しみの一つである。

ノルデンスコールド湖とぺウェ湖の間にあるパイネ大滝、現地名「サルト・グランデ」に立ち寄る。高さこそそれほどではないが、流れ落ちる水量の豊かさが圧倒的な迫力を生み出している。滝壺から舞い上がる水しぶきには、陽光を受けて淡く虹がかかっている。パタゴニアの風景は、どこまでもダイナミックで美しい。

後方にそびえる尖った峰は、「クエルノス・デル・パイネ(Cuernos del Paine、パイネの角)」と呼ばれている。その奇抜な姿は、約1,200万年前に地下から隆起した白い花崗岩がもとになり、その上にあった黒っぽい堆積岩や粘板岩が乗ったことで生まれたという。中央の一番高い峰はセントラル(標高2,600m)、左がノルテ(2,400m)、右がエステ(2,260m)と名付けられている。自然が長い年月をかけて彫刻した壮大な造形美である。

湖に浮かぶ美しいロッジ、ペオエ・ホテルは予約がフルで取れなかった場所だ。エメラルドグリーンに輝くペオエ湖に長い橋がかかり、まるで絵画のような光景を作り出している。背後には、パイネの最高峰である堂々たるパイネ・グランデ(3,050m)が雲間から姿を見せ、右手に隠れるようにクエルノス・デル・パイネが控えている。次回訪れる機会があれば、ぜひ泊まってみたい憧れのロッジである。


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