まさおレポート

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NTT法の功罪を通信事業史で振り返る 12 規制は大きなうねりと共に 12回で完

2023-10-16 | 通信事業 NTT法廃止と課題

 

 

かつて哲学の授業でプラトンとアリストテレスの2大潮流は長い年月のうねりを持って繰り返していると聞いたことがいまだに頭の底に張り付いている。イデア論とリアリズムが時代と共に主人公に躍り出るというサイクル論は歴史を眺めるのに非常に良い整理になる。

グローバリズムと自国ファーストもそういうサイクル論で眺めると整理できる。NTT法の廃止をめぐる議論はまさにグローバリズムと自国ファーストのサイクルで理解できるのではなかろうか。

わたしが通信の制度問題に首を突っ込んだ1990年初頭はジャパン・アズ・No.1の自国ファーストの終焉の時期にあたりグローバリズムが台頭して問答無用の猛威を奮い日米貿易摩擦や半導体問題、国際通信接続料金引き下げ、規制緩和などでクリントンにガンガン押し捲られている時期だった。その波に乗って競合通信2社が生まれ成功した。当時を知る者からは考えられない大きな産業界の変革をもたらし、電電御三家のF,N,Hは元気を失い半動体は目も当てられぬ惨状に陥った。政治家は無力だったしむしろ後押しを余儀なくされた。

歴史のうねりからは当然の帰結だが極端なグローバリズムの終焉が見えてきたのではないか。グローバリズムのいく末には中国の危険な国際ルール無視と躍進が重なり尖閣や台湾という極めて危険な様相を呈している気がする。


米国が独禁法の観点からAT&Tを分解して7つのベルカンパニーに分けベル研も分離させた。この当時は米国は圧倒的に強く、国内で競争状態を作り出した方がさらに米国は発展するという認識のもとに独禁法を発動したのだ。綺麗事の錦の御旗独禁法ありきではないことは今から考えれば明らかだ。グローバリズムも然りであり自国に有利な時代の錦の御旗だったのだと考えても良さそうだ。

(産業革命と三国貿易の奴隷貿易を思い起こせば産業革命という錦の御旗でどれだけ人類に害を及ぼす残酷な行為をなしたのか、しかし世界史的には進歩なのかもしれないという複雑な心境になるが今はこの問題に入るのはさておきます)


かくして時代は巡り世界的に群を抜いた企業を持たないと国の産業がやばいという時代を迎えた。独禁法よりも世界有数の企業を有する国が強いという時代にうねりが変わった。かくしてかつての日本産業の雄でお先の平凡なNTT復活の待望論が産業界にも政界にも潜在的に高まってきた。そこで世界のトップをいくIOWNの登場で、これでいけそうだとの感触を得た。財務省の財源確保にも役立つという好環境でNTT法廃止が動き出した。


かつて40年前にNTT民営化のお先棒を担いでいたわたしも今では上記の理由でNTT法廃止に賛成だ。時代のうねりには逆らえない。この先にNTT法廃止の議論が進んでいくが必要だと思われることは「NTT法の功罪を通信事業史で振り返る11」までに書いた。

いずれ纏める時期が来るかもしれないがこれで一応終了とします。


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