実数
アルキメデス学派は線分を極小の点の有限個の集合としていた。実数という数の集合も、実はほとんどの値が自然界には存在しない可能性もある。
宇宙は有限だが、実数は無限だから対応がとれない。
無限
現代物理学では、宇宙は膨張しているものの、大きさは有限であるとする。地球から観測可能な宇宙は半径約450億光年の球状の範囲でこの大きさは赤方偏移から計算された理論上の値で、銀河の直径は3万光年であり、隣の銀河の間の距離は300万光年で、宇宙の広がりの大体の感触がわかる。
イメージしてみる。3センチの銀河が3メートルの間隔を置いて45キロ半径の円のなかにある。
銀河には1000億を超える恒星が存在する。宇宙には225,000,000の銀河がある。乗ずると2にゼロが19個つく数の恒星があることになる。ギブアップ。
有限の空間の中に無限の数のものが果たして存在しているか。
0
素粒子は、大きさがあってもなくても良いとされるが、大きさが完全に0の素粒子が無限に集まって有限の大きさの粒子や物質を形作っているとすると実に無と有の概念が根底から揺らいでいる。人間が観察可能な最小の大きさなどはプランク定数から求められる。
時間は連続的に続いていくのかどうかも揺らいでいる。人間が観察可能な時間の最小の解像度(物理学ではプランク時間)は約5 * 10のマイナス44乗秒でこれより短い時間が存在するのか、それとも時間は離散的なものなのかはわかっていない。
1
岡潔は小林秀雄との対談で、1は定義できないと述べている。この真の意味はわかりかねるが、上記のメモからみて、世界に真の意味での1は存在しないということらしい。
岡潔 小林秀雄との対談 昭和40年発刊の『人間の建設』
小林「岡さん、書いていらしたが、数学者における一という観念……」
岡「一を仮定して、一というものは定義しない。一は何であるかという問題は取り扱わない」
小林「つまり一のなかに含まれているわけですな」
下記の記事など、この一を仮定して に通じるものがある。
フレンケルは、スタニスワフ・レムのSF『ソラリス』を例にもち出した。惑星ソラリスでは、ひとつの世界がまるごとひとつの存在なので、複数のものを、「ひとつ、ふたつ、みっつ」と数えるということがない。それゆえソラリスは自然数(1、2、3、……)の概念をつかむことができず、ひいては数学の発展も望めないだろう、という議論があるのだそうだ。
一というものは定義しない なるほど!
フェルマーの最終定理と谷山豊それにガロア
「近世数学史談」 高木貞治著 読書メモ
お盆の空想 正、負、虚数