まさおレポート

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ボローニャ紀行2

2018-06-04 | 紀行 イタリア・スペイン 

ボローニャの小高い丘の頂上に立つ煉瓦色のサンルカ教会に立って下界を望む。

1190年にアンジェリカが両親からこの土地を引き継ぎ長い年月にサンルカ教会が築かれ多くの人々が巡礼に訪れる。市街地からバスでメロンチェッロで降りるとポルティコが見える。アーチの数は666で6という数字にどんな意味が込められているのだろう。

 

 

サンルカへの急登は30分から45分続く。聖母マリアとキリストの物語になぞらえた15のチャペルに沿ってポルティコが続き山上まで導いてくれる。 

山上の教会から山並みを。ボローニャのポルティコはサンルカから長い年月を経て延長された。

長いポルティカの果に山上のマリアが迎えてくれる。

 

ボローニャ大学近くの街角で話し込む学生。ボローニャ大学には10万人の学生を擁する。

イタリアのボローニャに一月ほど滞在したときに、当地の国際絵画館にラファエロの絵があることを知り、6月のある日に出かけてみた。ボローニャ大学のある通りは危険だから近づかないようにと言われていたのだが、ある程度慣れてきていたので、びくびくもので出かけた。

その通りはやはり、昼間から酒ビンを片手にうろつく男がいたり、なにやら集団で通りがかる人を品定めするように眺めたりで、なにより、人通りがめっぽう少ない。その日は国際絵画館が見つからなかったので、そうそうに引き返した。

数日たって、一人で散歩をしていると、絵画館に行く別のコースを見つけた。こちらは比較的安全そうな通りだと踏んだ。それでも、物陰ではなにやら紙に包んだドラッグの取引をしているような光景にも出くわした。

ようやくのことで、ボローニャ国立絵画館にたどり着き、ラファエロの展示室へ向かう。

ラファエロの聖ヒエロニムスの幻視。

ボローニャ国立絵画館の目玉作品でラファエロの聖チェチリアの法悦、1513年ごろの作品。

ラファエロがローマ滞在時の作で、左から聖パウロ、福音書記者聖ヨハネ、聖チェチリア、聖アウグスティヌス、聖マグダラのマリアが並ぶ。チェチリアは神を賛美するのに楽器を奏でながら歌ったと言い伝えられており、この絵では楽器を投げ捨てて天上の天使の歌声に聴き入る。

マグダラのマリアは墓にあると思われていたイエスの遺体に塗る香壺を持っている。約3m×約1.5mのこの作品をゲーテは「イタリア紀行」の中で絶賛した。ラファエロは「美しい女性を描くためには、実際に多くの女性を見る必要がある」という言葉を残している。

ボローニャ国立絵画館の巨大な陶器。

ボローニャ国立絵画館のラファエロ。

小一時間ほどこの前にいたが、人通りは少なく一組が通り過ぎたくらいだ。この画家の評価はいたるところで言われているので面映いが、やはり凄い、絵画のモーツアルトだ、柔らかくて瑞々しくて清潔で、生命感にあふれて、と形容詞が限りなく出てくる。

イタリアらしいなと思った出来事がある。ラファエロの前から立ち去ろうとする頃、当国立絵画館のスタッフが2階まで届きそうなはしごを担いでこの絵の前を通り過ぎた。この絵はガラス無しで展示されている。日本ならありえない振る舞いでちょっとでも触れたら歴史的名品が破損すると気が気でない。

国立絵画館 石のはめ込みテーブルが気持ちよさそうで思わず触ってみたくなるが当然に厳禁だ。


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