2006/05/18~20
アグリジェントは紀元前580年に古代ギリシャ人により街が建造され、前406年に第一次ポエニ戦争でアグリゲントゥムの戦いによりカルタゴにより破壊されるまで栄えた。この戦いでローマによるシチリア島支配が始まった。1997年に世界遺産登録。
アグリジェントはマグナ・グラエキア(古代ギリシア人が植民した南イタリアおよびシチリア島一帯を指す)時代の植民都市アクラガスに発しその頃の遺跡が現在まで残っている。哲学者エンペドクレスの出身地(紀元前490年頃 – 紀元前430年頃火・風・水・土の四元素説を唱えた。)でもある。
宿泊したホテル周辺の石垣と花。この裏で巨大なシェパードが吼えていた。
ホテルオーナーの作品。アグリジェント遺跡近くの小さなホテルに泊まった。英語も全く通じないのでパソコンの翻訳機能を使い意を通じた。そのためフロントで時間をとられた。部屋に案内される廊下には小さめの額縁にムンク風の絵が欠けてある。部屋は小さく窓からは何も見えない。インタネットはダイアルアップで何とかつながったが20Kbit程度しか出ていない。これでは株の取り引きもままならないと思いながらメールを開くと知人の女性が結婚するという連絡が入っていた。
ホテルには遅くついたのですでに夕食の用意は終わったという。しかし腹が減っていたのでなにかあり合わせでいいから食べさせてくれとお願いするとレストランでサラダとハムを用意してくれた。向かいのテーブルにはさきほどのホテルのオーナーである60過ぎの男が座り、夜食だか夕食だか判然としないがデキャンタの赤ワインを置いて食事をとっている。いつも思うのだが、赤ワインのデキャンタが置いてあるだけでそのテーブルは幸せな夕食の雰囲気を醸し出す。美味そうなパイまで食べているので眺めていると男が微笑んだ。パイを指さし、これでよかったら食うかとイタリア語で言っているらしい。パイと赤ワインを分けてもらい、ささやかながらなかなか素敵な夕食をとることができた。
レストランの壁際の長テーブルには翌朝の準備で、ゆで卵が大盛りにされており、湯気がただよっていた。このイタリアらしいといってもよい大胆な大盛りぶりともうもうと立ち上る湯気が何年たっても記憶に残っている。卵を持った鉢のよこにはパンやなにやかやが置いてあったと思うが、記憶からは消えている。記憶の画像は実に大胆な印象の遠近法を施すものだ。
遺跡の観光客以外はひなびた寒村と言ったほうがふさわしい村で、男は30近い娘と二人でホテルを切り盛りしながらなにやら創作を続けていた。翌日男に地下室のアトリエを見せてもらった。埋もれ木を鉈や鑿で彫って人の顔らしきものを浮かび上がらせている途中だった。これも昨夜みたムンク風の絵と同じモチーフと見た。こんな作品をホテルの仕事の合間に作り続ける男はおそらくこの島から一歩も出ずに一生を終るのだろう。世界にはそれぞれの土地の印象の代名詞のような人たちが、ひっそりとしかし確かな存在感をもって生きている。この男の記憶は大盛りのゆであがった卵よりもさらに深く印象に残っている。
州立考古学博物館収蔵品。ジョーヴェ・オリンピコ神殿を飾っていた人像柱テラモーネのオリジナル。発掘現場にはコピーが置かれている。高さ7.75M。
州立考古学博物館収蔵品。神殿模型、テラモーネたちが支えている。
州立考古学博物館収蔵品。陶片。
州立考古学博物館収蔵品。若い男性の立像。
州立考古学博物館収蔵品。陶製画、オリックス。
州立考古学博物館収蔵品。 陶製、鶏。
州立考古学博物館収蔵品。 神殿のオーダーに寄り添う立像。
州立考古学博物館収蔵品。アグリジェント神殿壁画のレリーフ断片。鹿、オオカミ、ウサギ、植物が描かれる。
州立考古学博物館収蔵品。レリーフのある建築部材石。夫婦像と波。
州立考古学博物館収蔵品 アッティカ陶器の壺。女を口説く男はヌードで神話の神々だろう。
州立考古学博物館収蔵品。男の顔のレリーフ。
州立考古学博物館収蔵品。女?の顔のレリーフ。
州立考古学博物館収蔵品。祭器あるいは日常品。
州立考古学博物館収蔵品。デッサン風、槍を持つ狩人あるいは兵士。
州立考古学博物館収蔵品 見方によっては噴出しそうな絵。
州立考古学博物館収蔵品。デッサン風。
州立考古学博物館収蔵品 紀元前470年の大理石像「アグリジェントの青年像」
州立考古学博物館収蔵品。笛を吹きながら踊る男。
州立考古学博物館。州立考古学博物館の前にはサン・ニコラ教会フェラリーデの礼拝堂ファラリス祈祷堂という小神殿。レンガとローマンコンクリートでできていいる。ローマンコンクリートはナポリ近郊の火山灰で作られる。現代のものと違いアルミニウム系で2倍の硬さをもつ。
州立考古学博物館の前には紀元前1〜3世紀頃造られた古代の集会所跡が。
貝の化石。
古代の集会所跡の井戸塀のトカゲ。
州立考古学博物館から神殿が見える。
林立するオーダー。
人像柱テラモーネの模型が横たわるジョーヴェ・オリンピコ神殿跡。紀元前480~470年以降に建造されたが未完のうちにカルタゴにより破壊され、さらに地震によって被害。幅56m、奥行き113m 古代ギリシャ最大級の神殿であったという。
くぼみは麻縄をかけた跡。
歴史上幾たびかの地震で巨石が散乱、オリーブの巨木がのぞく。
遺跡に生えるオリーブの巨木は蝋化したように見える幹。荒れ地に蟠る根。
遺跡に生えるオリーブの巨木、巨岩を抱えこみ屈服させている。
遺跡に生えるオリーブの巨木、一本の巨木が広大なエリアを従えている。
遺跡の荒れ地に咲く花。
遺跡に咲くピンクの花は夾竹桃。
遺跡からアグリジェントの街を望む。
州立考古学博物館の庭。
州立考古学博物館の中庭。素焼きの壺に木漏れ日がさしている。
鮮やかな緑と赤の配色。
荒々しい茎と黄色の花。
歩道脇の黄色い花
コンコルディア神殿 紀元前460~440年頃 前面6柱、側面13柱のほぼ完全な姿 円柱には、漆喰が塗られていた。6世紀末 キリスト教教会として転用される。
エルコレ神殿ヘラクレス 古代アグリジェント(当時の呼称はアクラガス)で特に崇敬された神 紀元前520年 アグリジェントの遺跡の中では最古 地震で崩壊したが、1924年、イギリスの考古学者により復元作業が行われた。8本の円柱が残るのみ 神殿の谷には7つの神殿遺跡があるドーリア式。