小さな島の頂上部にも別荘らしき建物が見える。イゾラ・ベッラ(Isola Bella)は、イタリア語で(Isola=島、Bella=美しい)イタリアにはこの名称の島は幾つかあるが、タオルミーナのイゾラ・ベッラは、フランス映画「グランブルー リュック・ベッソン監督 1988年」のロケ地として使われた美しい小島。タオルミーナで開催されるフリーダイビング競技でエンゾ、ジャック、ジョアンナが出会う。
主人公のジャックマイヨールもエンゾも実在のプロの素潜りダイバーだ。エンゾはダイブ浮上中に死亡した。この映画が作成されたあとジャックマイヨールはどこかの島で若い妻と結婚して暮らしていると聞いていたらその内自殺した。自殺の原因はいまだ分かっていない。
以前に一度この映画は見ているが、ジャック・マイヨールが元気な時代のことだ。この映画の中で素潜り世界選手権大会の開催されるシチリアのタオルミーナは昨年訪れた。タオルミナは海辺の町で、小さなペンションに三泊した。そこからボートで海にでてこの映画でパスタを食うシーンのレストランを遠望した。
そんなこんなでこの映画を再度観る機運は高まっていた。完全版は映画よりも50分近く長い。167分は少し長いなとは思いながらも最後まで楽しく観ることができた。
映画作成後のジャック・マイヨール自殺の事実を知ってこの映画を観るとラストのシーンはその後の彼の運命に不思議な符合を見せる。ライバル・エンゾの事故死の後を追うように海に潜って深海で幻想のようなイルカと戯れる姿はその後浮上するともしないとも不明のままに終わる。
しかし、その後の事実を知った上で見ると、これは浮上しないのだと確信できる。海とイルカをこの上なく美しく描くことに成功しているのに、さらにジャック・マイヨールがイルカと海にあまりに同化してしまった為か人間世界に対する厭世感をも描こうとしたらしい。「浮上する理由が見当たらない」とのセリフを彼にはかせている。