カツオが好き。
花沢さんではありません。
有名な句が喚起する印象より、いささか早い気もするが、
「銚子沖」とパックに印字されていたから
素人の私が知らないだけで関東も初鰹の季節なのだろう。
皮付きの厚めの刺身が好き。
生姜醤油にシソ、みょうがを放り込み、半身くらいはすぐ食べてしまう。
本当はニンニクを入れたいところだが、人様と会う用件があれば
さすがに我慢する分別はある。
が、そういうのも時代遅れになりつつあるのかもしれない。
ともあれ初鰹が二両二分(18万円ほど)で贖われた時代があったとか。
髪結新三という小悪党が小娘をかどわかし、返す代わりに手に入れた金。
「かっつぉー」
という呼び声を聞きつけた新三は、子分に買いに行かせ、
初鰹で一杯と洒落込もうとした矢先、
溜った店賃の取立てがてら家主がやってきて、
あれよという間に半身持っていかれてしまう。
口の達者な小気味のいい悪党が、家主にやり込められる
滑稽さと、初夏のさわやかさ。
そんな一幕が印象的な「梅雨小袖昔八丈」。
生で見たのは中村勘三郎の新三。
江戸弁の歯切れよさ。茶目な感じ。ちょっとかすれた声。
好きな役者というより、いて当たり前の人気者。
あえて贔屓をするほどでもない大衆魚。
そしていなくなってわかる残念。後悔。
歌舞伎を見だした頃、当たり前のように毎月出ていた人がもういない。
雀右衛門、芝翫、富十郎は、それなりのお年であったけど
団十郎、勘三郎、三津五郎、は若すぎる。
平均寿命40代の時代、その切実さに裏付けられた粋を、
生身の現代人が体現するのに、どれだけの乖離に耐えなければならないのか。
公演日程も過酷すぎる。松竹はもう少し役者を大切にすべきだと心から思う。
2列目に座っていて、舞台上の団十郎と目が合ったとき、
下腹部にドンと気が入りこんできて、びっくりしたことがある。
骨身削って演じていたと思う。
極私的だが一番好きだったのは富十郎さんの声。
滑舌よく、朗々と通りよく、耳に心地よい。
好みの声の頂点が富十郎さんだとすると、発声の悪い役者が多すぎる。
その中ではやはり海老蔵の声がいい。
頼むから長生きしてくれよ。
花沢さんではありません。
有名な句が喚起する印象より、いささか早い気もするが、
「銚子沖」とパックに印字されていたから
素人の私が知らないだけで関東も初鰹の季節なのだろう。
皮付きの厚めの刺身が好き。
生姜醤油にシソ、みょうがを放り込み、半身くらいはすぐ食べてしまう。
本当はニンニクを入れたいところだが、人様と会う用件があれば
さすがに我慢する分別はある。
が、そういうのも時代遅れになりつつあるのかもしれない。
ともあれ初鰹が二両二分(18万円ほど)で贖われた時代があったとか。
髪結新三という小悪党が小娘をかどわかし、返す代わりに手に入れた金。
「かっつぉー」
という呼び声を聞きつけた新三は、子分に買いに行かせ、
初鰹で一杯と洒落込もうとした矢先、
溜った店賃の取立てがてら家主がやってきて、
あれよという間に半身持っていかれてしまう。
口の達者な小気味のいい悪党が、家主にやり込められる
滑稽さと、初夏のさわやかさ。
そんな一幕が印象的な「梅雨小袖昔八丈」。
生で見たのは中村勘三郎の新三。
江戸弁の歯切れよさ。茶目な感じ。ちょっとかすれた声。
好きな役者というより、いて当たり前の人気者。
あえて贔屓をするほどでもない大衆魚。
そしていなくなってわかる残念。後悔。
歌舞伎を見だした頃、当たり前のように毎月出ていた人がもういない。
雀右衛門、芝翫、富十郎は、それなりのお年であったけど
団十郎、勘三郎、三津五郎、は若すぎる。
平均寿命40代の時代、その切実さに裏付けられた粋を、
生身の現代人が体現するのに、どれだけの乖離に耐えなければならないのか。
公演日程も過酷すぎる。松竹はもう少し役者を大切にすべきだと心から思う。
2列目に座っていて、舞台上の団十郎と目が合ったとき、
下腹部にドンと気が入りこんできて、びっくりしたことがある。
骨身削って演じていたと思う。
極私的だが一番好きだったのは富十郎さんの声。
滑舌よく、朗々と通りよく、耳に心地よい。
好みの声の頂点が富十郎さんだとすると、発声の悪い役者が多すぎる。
その中ではやはり海老蔵の声がいい。
頼むから長生きしてくれよ。