植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

覚醒剤は深く潜航する

2019年11月10日 | 時事
山口組の顧問弁護士を長年務めていた山之内さんが、以前インタビューの中で、こうおっしゃっていました。
「日本から暴力団を無くすとしたら、覚醒剤を撲滅することに尽きる」という趣旨でしたか。

覚醒剤は、第二次世界大戦のさ中、大手製薬会社が堂々と10年間製造販売しておりました。ヒロポンと呼ばれて、夜中まで何も食べないでも働ける、という軍需工場の工員さんに処方していたことも有名であります。坂口安吾や織田作之助などが中毒であったのもよく知られています。流石に中毒性が高く健康被害が重大なことがわかって覚醒剤取締法が施行され禁止となりました。

以降は、暴力団の有力な資金源となりました。いくら売っても非課税ですし、元の値段は末端価格からしたら非常に安い代物です。ほとんどが海外(北朝鮮とかイランとかが知られています)からの密輸によります。船で運んだり、飛行機に荷物の中に隠すとかが一般的ですが、チェックが効きづらい法人の国際郵便・輸入物資に紛れさせているとか、外交官が堂々と持ち込むとか、方法はさまざまの様です。

こうした覚醒剤は、主に反社勢力と外国人によって高値で売りさばかれます。買う人は、やくざさんとその関係者をはじめとして、芸能人・ミュージシャン、政治家・役人から一般の主婦までに及びます。その数はあくまで推計ですが覚醒剤を含む違法薬物経験者は300万人近くもいるそうです。これはすごい数字でありますね。

覚醒剤はなぜ問題なのか、整理すると
・中毒性依存性が高い(一度始めたらやめられない)、拡大性が大きい。
・神経への副作用が強く最悪廃人となる。常用することで栄養不良、体重減少を招き死に至ることもある。覚醒剤の購入資金欲しさの犯罪、幻覚症状・精神疾患による重大な事件事故の誘発。
・暴力団の活動資金となる。
・北朝鮮の国家資金にもなり、核ミサイル開発の原資となる疑いが濃厚。

田代、スノボー国母、元「歌のお兄さん」など最近は逮捕者が目立ちます。入手ルートで芋づる式に捕まるのはよくある話です。大麻を含めると有名人だけで枚挙にいとまがありません。こういう人たちが、その後どんな人生を送ろうがたいして興味は湧きません。逆に社会が救わなければ、という一部の論調には違和感を覚えます。

問題は、こういう人たちがなんとなく復帰してきては、また捕まるというスパイラルです。薬物をやっても初犯は執行猶予みたいな軽い罪で済みますし、長くても数年の別荘暮らしです。出所すると覚醒剤を打つことを真っ先に考えることも多いそうです。やったらやめられない、脳がその快感を覚えて更に強い刺激を求めるので、理屈ではわかっていても体がいうことを聞かないのだそうです。

 覚醒剤を本気で取り締まり、日本から追放するとしたら、アジア各国で一般的な「死刑か無期懲役」にするしかありませんが、そうした意見は少ないようです。あの北朝鮮ですら死刑なのです。日本は、麻薬全般に寛容な欧米に倣い、非常に軽い刑罰しか与えません。そもそも覚醒剤を推奨し広めたのは日本政府なのですから。また、警察もお国も暴力団にはどこか遠慮しております。覚せい剤中毒者は、犯罪人では無く、薬物の被害者であり病人なので、罰するのではなく、治療するというのが建前なのです。

その結果捕まっても大した罪にならない日本に、全世界から覚せい剤が集まっているのです。これでは、末端の使用者や売人をいくらしょっ引いても根絶なんて出来ませんよ。

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