アイドルってのは、
いろんな世代ごとにいるわけで……
高齢者には高齢者向けのアイドルがいる。
美空ひばり、石原裕次郎、……
全ての世代に好かれるアイドルなんているもんか。
祖父母や両親と一緒に見るテレビの中のアイドルを、
選り好みする権利なんか子どもにはない。
テレビに色が付き、両親だけとになっても、
それは変わらない。仕方なく見るしかない。
ひばりも裕次郎も、
辛気臭い歌を唄うおばはんと太ったおっさんだった。
『銀座の恋の物語』の、ベトつくような気だるさが嫌いだった。
……子供心に思った。
ああいうのが上手い歌なら、歌が上手いってのは、実に退屈なもんだ、と。
ちょっとズレるけど、
山城新伍が昔、白馬童子だったって聞かされても、
私には、どん兵衛のCMのおっさんだった。
要するに、世代ごとに思い入れってのがある。
んで、新しい世代は、古い世代のアイドルに惹かれない。
西城秀樹や郷ひろみのほうが、新鮮でカッコ良く見える。
山口百恵や桜田淳子のほうが、活き活きして可愛く見える。
(野口五郎や森昌子は、古く見えた)
んで、古い世代は大抵、
新しい世代のアイドルへ、何らかの拒否反応を示すわけ。
歌が下手、二の腕や足が太い、女みたいで気持ち悪い、
鼻の下伸ばす唄い方が気に入らん、とか何とか……
名前を覚えないってのも、覚える気がないってのと、
セットになってることが多いわけ。
今、AKB48とか人数の多いアイドルの名前なんか覚えられん、
って言ってるおっさんも、
ゴールデンハーフは、マリア、エバ、ルナ、ユミって覚えてたはずなんだ。
んで、自分の親がテレビに向かって、
「あんなミニスカートはいて、はしたない」って言ってるのを見て、
バツの悪い思いしてたはずなんだ。
キャンディーズやピンクレディーだって言われたもんさ、
「誰がランで、どっちが誰なんだ?」って。
そうは言わない、(当時の)新しい世代は、
今、AKB48に夢中になる世代と同じ情熱で、
「スーのほうがいい」「やっぱり、ミーが可愛い」とか熱くなってたのさ。
ここらへんのことも、
単純に昔は良かったって片付けられる話じゃなさそうだね。