日本のラッパー、ニッポニア・ニッポンの唯一のアルバム。
ドープなトラックに鬱っぽいリリックが特徴。
かなりアングラな作風ですが、ピアノが印象的でメランコリックなトラックと暗い歌詞は唯一無二で一度聴いたら忘れられなくなります。
「汚れた血」はHIVに感染した人物目線で歌われたストーリー形式の楽曲。
歌詞に「不正確の薬の被害者」とあることから1980年代に起きた薬害エイズ事件がテーマになっており、エイズ患者が差別される歌詞やマスコミに詰めかけられるような歌詞もあることから社会の闇も歌っています。
「怠け者」はホームレスに転落してしまった人物の感情を歌った曲。
「昨日見つかった駅の死体なりたい」「毎度みっともなく じっとして元通り」などとにかく歌詞がネガティブ。
ニッポニア・ニッポンはこの作品をリリースして失踪してしまったそうです。トラックを担当したCALM氏曰く、印税も払えていないとのこと。当然のことながらニッポニア・ニッポンの本名や経歴も不明のままとなっています。
リリックで示唆されているとおり自殺してしまったという話もありますが、この失踪までの騒動が偽名を使ったラッパーの自作自演という話もあります。
ヒップホップは社会風刺が特徴であり、そのようなことをすると外野から批判が飛んでくるのでそれを回避するために偽名を使ったという説もあります。
(本作は"薬害エイズ"と"ホームレス"というデリケートな話題を取り扱っているため)
しかしながらニッポニア・ニッポンがその後どうなったかは本人以外分からず、真相は闇の中となっています。
【トラックリスト】
1. Introduction
2. 汚れた血
3. 怠け者
4. 汚れた血(Instrumental)
5. Outroduction
汚れた血
【歌詞一部抜粋】
波打つ曲線は 直線 描きだす 突然
巡る血は汚し 終えるは この時
怠け者
【歌詞一部抜粋】
早くここから抜け出たいよ 太陽の根元まどろんだ怠け者
強く一歩踏み出したいよ 最初ジッポ火をつけ埋めていく ほとぼり
早くここから抜け出たいよ 太陽の根元まどろんだ怠け者
強く一歩踏み出したいよ 毎度みっともなく じっとして元通り