メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

鋼鉄のオトコ現る!アイアンとの出会い

2019-04-13 07:45:29 | アイアン
その日はオフで、お天気は最高。
私は繁華街のジェラート屋さんにいた。
日本と違って湿気がなく、カラッとした夏はすごく気持ち良い。
でも冷たいドリンクかアイス無しで生きるには暑すぎる。


あぁー癒される。。。
ここのレモンジェラートめっちゃ美味い。


小さなその店の一面は鏡になっている。
私もアラサーとはいえ女子(苦笑)なので、鏡ごしに、ジェラートと自分をSNS用に撮影した。
ピンク色のカップを持つ私は、綺麗なミントグリーンのワンピースを着ている。
結構年季は入っているが、今夏着るのは初めてだ。
お気に入りだった。



外へ出ると、思わず目を細めた。
めっちゃ眩しい。
あたし、どこかで明日の朝ごパン買いたいな。


せっかくお気に入りのワンピを着て繁華街に出てきているから、
通い慣れたスーパーではなく、ちょっとしたパン屋で買いたい。
できれば初めての店がいい。
見飽きた大通りをそれて、細道に入ることにした。
不意に、観光客にも人気の、可愛いマーケットに出くわした。
あーそっか、ここに繋がってるのか、と小さな発見を喜んでいた、
その時だった。




「Excuse me, excuse me, excuse me!!」



まさか自分が呼ばれているとはつゆも思わなかったので、
私が立ち止まるまで、その人は私を小走りで追いかけていた。
振り向くと、サングラスをかけた背の高い男性がいた。



「(あたしか!)あ、はい?」

「やぁこんにちは。そのドレスすごく綺麗だね、めちゃくちゃ素敵だよ」

「え?あ、あぁ、ありがとう…」

「すっごく素敵!君にぴったり。完璧に似合ってるよ。ハハハ!」



と、彼はまくし立てた。
ちょ、ちょま!早口聞き取れない!汗
戸惑う私に気づくこともなく、彼は隣に並んで続けた。



「君、どこからきたの?」

「日本よ」

「日本!いいね。素晴らしいね。俺、日本語勉強しなきゃって思ってるんだよ。ハハハ!」

「そ、そう。あなたはこの国の人?」

「うん、俺はこの国出身。でもわかるよ!俺の見た目だよね、わかるわかる。
俺はこの国の国籍なんだけど、両親は某国から来てるんだ。
だからそっちのエリアの人間だよね」




はぁーなるほど。と私は納得した。
真っ黒な髪に、ちょっと茶色い肌。
英語が母国語っぽい見た目ではない。
今まで付き合ったことがない国の人だ。




「君はここで何してるの?勉強?仕事?観光?」

「住んでるわ。働いてるの」

「へぇーいいねいいね。何してるの?」

「ま、こういうことをしてるんだけど…あとまぁ休みには、ボランティアで日本語を教えたり…」

「最高だね!俺も教えてもらいたいくらいだよ、ハハハ!教えて教えて」



こ、この人めっちゃ喋るな…
おまけにめっちゃ早口!



「えっと、申し訳ないんだけど、もう少しゆっくり喋ってもらえるかしら?
私、まだそんなに英語が上手じゃないのよ」

「おっとごめんごめん!そーなの、俺って実際めっちゃ早口なんだ。
これ俺の悪い癖なんだよね。ごめんごめん、気をつけるよ。ハハハ!」



全然スピード変わってない




タスケテーーーー!!!(笑)


喋りながらアーケードを抜けそうになると、彼は突然足を止めて、日に焼けたくないと言った。
あまりに喋りっぱなしなので、通りすがりにお喋りを楽しんでるだけかと思ってたのだけど、
彼はアーケードに引っ込みながら、私にも引っ込むよう手招いた。




「(あら?ここでお別れじゃないんだ)」

「いやホント、急に声かけちゃってごめんね!君のドレス、本当にすっごく素敵だったからさ」

「あ、いえいえ。ありがと…」

「すっごく綺麗だし、本当に似合ってるよ!やっぱり美人は何でも似合うんだね!」



(°_°)




「ドレスも綺麗だけど、君がすっごく綺麗だからさ!思わず声かけちゃったよ、ハハハ!」

「あ、そ、そう…そりゃどうも…」

「君はしょっちゅうそんな事言われてるんでしょ?
みんながみんな君のこと綺麗だって言ってるんでしょ?
でしょでしょ?ハハハハハ!」


と、彼は笑った。
サングラスをかけているから定かではないけど、多分私の好みなんじゃないかと思った。
正直髪は黒髪が好きだ。
しかもすごく真っ黒な黒髪。
ビッシリと詰まって生えたそれをキッチリセットして、スーツを着た綺麗目の出で立ち。
瞳が見えないのに好みかどうかわかるのかと問われたら、確かに100%ではない。
でもサングラスが決してズレなさそうに乗った高い鼻は、超タイプだった。




「で、君、今日はここで何してるの?」

「あぁそうそう。よかったら助けて欲しいんだけど」

「何でも言ってよ!助ける助ける」

「私、パンを買いたいの。この辺で良いパン屋さん知らない?」



パン!?うーん、と彼は唸ったが、すぐに、俺パン食べないんだよねハハハ!と終わらされた(笑)
それでもこのエリアを軽く案内すると申し出て、彼は歩き出した。




「こっちに行くと大通りに出るし、その前にいくつかレストランもあるよ。
あっあとここも美味しいよ。すごく良いレストランだよ。
君はこういう料理食べたことある?」

「残念ながらあんまり…」

「そうだよねそうだよね。一度食べてみてよ、美味いよ美味いよ」



とまぁこんな感じで、一向にスピードダウンしない彼のトークと共に、
超サクッとだけど、そのエリアを紹介してもらった。




「君、名前は?」

「メイサよ。あなたは?」

「アイアン。よろしくねメイサ♡」



へへへ!と笑って手を差し出したので、私もヘラっと笑って握手した。



「会えて光栄だよ!ホントホント。
よかったら、君のメールアドレスとか教えてくれない?」

「…まぁ、いいよ」

「良かった良かった!じゃぁここにタイプして…」



と、彼の携帯を渡されたのでタイプし出したが、その間もアイアンのトークは止まなかった。
ほんっとによく喋るなこの人…しかもめっちゃ早口で。
大して内容もないことをペラペラ、止まることなく喋っていた。




「じゃ、ありがとう!今日は君に会えて良かったよ!!メールするね!」

「こ、こちらこそ。。。」

「最後にハグして良い?」




好みだし、一瞬考えたけど




「今度ね」




と手を振った。
この国ではハグは挨拶だ。
でも、初対面のナンパしてきた男とハグするのは、また話が違うと思った。
あと私日本人だし!



アイアンはあっそ、OK!とあっさり去っていった。
まーこれで脈無しって思って連絡して来ないかもな…。



が、すぐにっていうかその日のうちに
彼はメールして来た。




続きます。