アイアンは言った。
「君がそうやって、ちょっとほっぺを膨らませてるの見ると、
ツンツンしたくなっちゃうよ。
すっごく可愛いよね。」
はぁ?と私は苦笑した。
そもそもほっぺを膨らませた理由は、彼が何かしら私を悩ませることを言ったからだ。
コイツ、どんだけ平和な頭してんだ。
私の反応に構わず、アイアンは少し声のトーンを落として言った。
「メイサ、君をハグしたいな」
ニッコリ笑ってそう言われたので、私も冗談で返すことにした。
「ここで?残念だけど私たちの間にはテーブルがあるわね」
「できるよ!君がよければ」
「いや良くないでしょってゆーか無理でしょ!」
「大丈夫だよ。それかトイレ行く?」
「トイレ?臭うんじゃない?」
「まさか、中じゃないよ。外外」
と彼は笑った。
事実、このカフェにはユニセックスのトイレが3つあり、
それが並んでいるエリアと、座席のエリアはドアで区切られている。
彼は、座席エリアから遮断された、トイレ前のエリアを指して言ったらしい。
私はあらそう、と素っ気なく返事した。
話を変えよう。
「ところで、あなたって何か宗教はあるの?」
「あるよ。俺はこの宗教なんだ。」
「へぇ、私の友達も何人かそうだわ。
色々制約がありそうだけど、何を食べるの?」
「何でも食うよ。えーっと俺何食ってるかな?
肉も食べるし…」
一応触れておくと、日本と違って、この国では宗教をやっているのは超フツーです。
それについて話すことも、全くタブーではないしね。
「お米とかパスタとか?」
「食べる食べる。あーでもあれは食べないけど…
ま、何でも食うよ。俺のお腹見ればわかるよね?ははは!」
と彼は自分のお腹を指した。
初めて会った日にも思ったけど、アイアンはお腹が出てる。
背が高くて四肢が長いから無様にはなってないけど、ハッキリと出てると言える。
ていうか、全身が細長いから、ちょっと出てるお腹が目立つ。
彼が三十代なのも踏まえると、ありがちな状態だと思う(笑)
かつてのお客さんたちも、ハンサムで背が高い人はたくさんいたけれど、
軒並みお腹が出てんだよなーと思っていた。
まぁまぁまぁ、小ジワが気になるアラサー女子が
やんや言えたことじゃないかもしれませんけどね。へっ。
「君は?全然食べないんでしょ?そんなにスリムだもんね」
「まぁ、アジア人って大抵欧米人より細いのよ。
背も低いし。」
「確かに!でも君、そんなに背が低くないよね?」
「でもこの国の子の平均より低いでしょ?」
「まぁそうね。やや低いかな。でもいいサイズだよ!」
「(ホント適当だな笑)あなたは背が高いわよね」
「うん、俺は高いんだ。186はあるかな」
おっきいわね、と目を丸くした。
どうりでデカイと思った。
私の反応が気に入ったのか、それとも自慢の長身なのか、
アイアンは満足げだ。
「そうなのよ!あと俺耳と鼻もデカイの。
俺嫌なんだよこのデカイ鼻」
「えーっ。あーまぁここではそうよね。
アジア人からしたら高い鼻は羨ましいけど。
あなたの鼻は誰から来てるの?パパ?ママ?」
「母親だね。耳は〜多分父親?」
「ご兄弟はあなたと似てるの?お兄さん達。」
「それが兄貴と俺全然似てないのよ!この鼻俺だけ!」
ぶっと吹き出してしまった。
彼が気に入っていないデカイ鼻がを、彼だけが持ってるのが可笑しかった(笑)
日本では高いって褒めるとこだけどね。
私が面白い、と呟いたのを聞いてwhat’s that?と訊ねた。
「オモシロイ、funny、って言ったのよ」
「はは、オッケー覚えるよ!オモシロイね。」
オモシロイオモシロイ、と彼は暗記でもするように繰り返した。ニヤニヤしながら(笑)
私はやはりそんな彼が面白かったので、頬杖をついて笑っていた。
話している間、アイアンはよく私を見つめていた。
その瞳を見つめ返しているだけで、グンと恋愛モードがONになる。
瞳に吸い込まれそうってこういうのを言うのかしら。
不意にアイアンは、私の手を触っていいか聞いた。
断る理由もないので承諾すると、彼は自分の手と私のそれを重ねてみた。
「ワーオ!君の手、すっごく小さいね!」
「そう?あなたのが大きいんでしょ」
「確かに俺の手も大きいけど、君のめっちゃ小さい!!」
確かに彼と比べるとかなり小ぶりだってゆーか、実は日本人の中でも小さい。
彼の手は私の1.5倍はあった。
長い指も大きい手のひらもカッコよかった。
「君はなんて小柄なんだ。」
と首をフリフリしみじみ言われ、私はまた吹き出した。
んな大げさな……(笑)
アイアンは続けて、私のほっぺを触っていいか聞いた。
まぁそれも大したことではないので承諾した。
アイアンは私の頬に触るなり、OH!と声を上げてその手で自分の頬をさすった。
流石に面白すぎて、もっと吹き出し、笑ってしまった。
「あなたって……変な人……ハハハ」
「オモシロイ?オモシロイ?」
と笑いながら聞く彼がまた面白かった(笑)
今思えば、この時から彼はもう面白いんじゃなくて、おかしかったのだ。
1時間が経った頃、彼は、外を歩かない?と提案した。
天気も良かったし、断る理由はなかったのでOKと答えた。←いつもこのパターン
彼は出勤まであと1時間くらい余裕があるらしいし。
「ちょっとトイレ行って来ていいかしら」
と席を立ち、ドアを開けて、例のトイレエリアに入った。
3つ並んだトイレのうち奥の1つだけが空だった。
入ろうかとしたその時、メイサ、と呼ぶ声がした。
振り向くとアイアンが立っていた。
「あら、あなたもトイレ?」
「どれが空いてる?」
「これよ。」
「メイサ、ハグしていい?」
はい?
何度も繰り返すけど、ハグはこの国ではただの挨拶だ。
もしかしてアイアンもう行くの?あたし聞き間違えた?
いずれにせよ、こんだけ話してからハグを拒む理由もなかったので、
ちょっと変な顔をしたまま、OKと両手を広げた。
アイアンは私を抱きしめ、俺の背中に手回して、とリクエストした。
ハイハイと言われた通りにすると、ほっぺを触った時みたいに声を上げた。
変な奴だなと思っていると、彼はそっと腕を緩め、私を見つめた。
あ、
キスしようとしてる
拒む理由もなかったので、OKと言う代わりに目を閉じた。
彼の唇が私のに触れて、ほんの数秒後のことだった。
「メイサ、こっちに来て!」
とアイアンは私の腕を引いて、唯一空いていたトイレに私を引き込んだ。
えっ
なっ
なんでー?!
続きます!
「君がそうやって、ちょっとほっぺを膨らませてるの見ると、
ツンツンしたくなっちゃうよ。
すっごく可愛いよね。」
はぁ?と私は苦笑した。
そもそもほっぺを膨らませた理由は、彼が何かしら私を悩ませることを言ったからだ。
コイツ、どんだけ平和な頭してんだ。
私の反応に構わず、アイアンは少し声のトーンを落として言った。
「メイサ、君をハグしたいな」
ニッコリ笑ってそう言われたので、私も冗談で返すことにした。
「ここで?残念だけど私たちの間にはテーブルがあるわね」
「できるよ!君がよければ」
「いや良くないでしょってゆーか無理でしょ!」
「大丈夫だよ。それかトイレ行く?」
「トイレ?臭うんじゃない?」
「まさか、中じゃないよ。外外」
と彼は笑った。
事実、このカフェにはユニセックスのトイレが3つあり、
それが並んでいるエリアと、座席のエリアはドアで区切られている。
彼は、座席エリアから遮断された、トイレ前のエリアを指して言ったらしい。
私はあらそう、と素っ気なく返事した。
話を変えよう。
「ところで、あなたって何か宗教はあるの?」
「あるよ。俺はこの宗教なんだ。」
「へぇ、私の友達も何人かそうだわ。
色々制約がありそうだけど、何を食べるの?」
「何でも食うよ。えーっと俺何食ってるかな?
肉も食べるし…」
一応触れておくと、日本と違って、この国では宗教をやっているのは超フツーです。
それについて話すことも、全くタブーではないしね。
「お米とかパスタとか?」
「食べる食べる。あーでもあれは食べないけど…
ま、何でも食うよ。俺のお腹見ればわかるよね?ははは!」
と彼は自分のお腹を指した。
初めて会った日にも思ったけど、アイアンはお腹が出てる。
背が高くて四肢が長いから無様にはなってないけど、ハッキリと出てると言える。
ていうか、全身が細長いから、ちょっと出てるお腹が目立つ。
彼が三十代なのも踏まえると、ありがちな状態だと思う(笑)
かつてのお客さんたちも、ハンサムで背が高い人はたくさんいたけれど、
軒並みお腹が出てんだよなーと思っていた。
まぁまぁまぁ、小ジワが気になるアラサー女子が
やんや言えたことじゃないかもしれませんけどね。へっ。
「君は?全然食べないんでしょ?そんなにスリムだもんね」
「まぁ、アジア人って大抵欧米人より細いのよ。
背も低いし。」
「確かに!でも君、そんなに背が低くないよね?」
「でもこの国の子の平均より低いでしょ?」
「まぁそうね。やや低いかな。でもいいサイズだよ!」
「(ホント適当だな笑)あなたは背が高いわよね」
「うん、俺は高いんだ。186はあるかな」
おっきいわね、と目を丸くした。
どうりでデカイと思った。
私の反応が気に入ったのか、それとも自慢の長身なのか、
アイアンは満足げだ。
「そうなのよ!あと俺耳と鼻もデカイの。
俺嫌なんだよこのデカイ鼻」
「えーっ。あーまぁここではそうよね。
アジア人からしたら高い鼻は羨ましいけど。
あなたの鼻は誰から来てるの?パパ?ママ?」
「母親だね。耳は〜多分父親?」
「ご兄弟はあなたと似てるの?お兄さん達。」
「それが兄貴と俺全然似てないのよ!この鼻俺だけ!」
ぶっと吹き出してしまった。
彼が気に入っていないデカイ鼻がを、彼だけが持ってるのが可笑しかった(笑)
日本では高いって褒めるとこだけどね。
私が面白い、と呟いたのを聞いてwhat’s that?と訊ねた。
「オモシロイ、funny、って言ったのよ」
「はは、オッケー覚えるよ!オモシロイね。」
オモシロイオモシロイ、と彼は暗記でもするように繰り返した。ニヤニヤしながら(笑)
私はやはりそんな彼が面白かったので、頬杖をついて笑っていた。
話している間、アイアンはよく私を見つめていた。
その瞳を見つめ返しているだけで、グンと恋愛モードがONになる。
瞳に吸い込まれそうってこういうのを言うのかしら。
不意にアイアンは、私の手を触っていいか聞いた。
断る理由もないので承諾すると、彼は自分の手と私のそれを重ねてみた。
「ワーオ!君の手、すっごく小さいね!」
「そう?あなたのが大きいんでしょ」
「確かに俺の手も大きいけど、君のめっちゃ小さい!!」
確かに彼と比べるとかなり小ぶりだってゆーか、実は日本人の中でも小さい。
彼の手は私の1.5倍はあった。
長い指も大きい手のひらもカッコよかった。
「君はなんて小柄なんだ。」
と首をフリフリしみじみ言われ、私はまた吹き出した。
んな大げさな……(笑)
アイアンは続けて、私のほっぺを触っていいか聞いた。
まぁそれも大したことではないので承諾した。
アイアンは私の頬に触るなり、OH!と声を上げてその手で自分の頬をさすった。
流石に面白すぎて、もっと吹き出し、笑ってしまった。
「あなたって……変な人……ハハハ」
「オモシロイ?オモシロイ?」
と笑いながら聞く彼がまた面白かった(笑)
今思えば、この時から彼はもう面白いんじゃなくて、おかしかったのだ。
1時間が経った頃、彼は、外を歩かない?と提案した。
天気も良かったし、断る理由はなかったのでOKと答えた。←いつもこのパターン
彼は出勤まであと1時間くらい余裕があるらしいし。
「ちょっとトイレ行って来ていいかしら」
と席を立ち、ドアを開けて、例のトイレエリアに入った。
3つ並んだトイレのうち奥の1つだけが空だった。
入ろうかとしたその時、メイサ、と呼ぶ声がした。
振り向くとアイアンが立っていた。
「あら、あなたもトイレ?」
「どれが空いてる?」
「これよ。」
「メイサ、ハグしていい?」
はい?
何度も繰り返すけど、ハグはこの国ではただの挨拶だ。
もしかしてアイアンもう行くの?あたし聞き間違えた?
いずれにせよ、こんだけ話してからハグを拒む理由もなかったので、
ちょっと変な顔をしたまま、OKと両手を広げた。
アイアンは私を抱きしめ、俺の背中に手回して、とリクエストした。
ハイハイと言われた通りにすると、ほっぺを触った時みたいに声を上げた。
変な奴だなと思っていると、彼はそっと腕を緩め、私を見つめた。
あ、
キスしようとしてる
拒む理由もなかったので、OKと言う代わりに目を閉じた。
彼の唇が私のに触れて、ほんの数秒後のことだった。
「メイサ、こっちに来て!」
とアイアンは私の腕を引いて、唯一空いていたトイレに私を引き込んだ。
えっ
なっ
なんでー?!
続きます!