めるつばうのおもうこと

めるつはミーム機械としてばうを目指します。

ルミナス/イーガン

2006-03-06 17:09:33 | めるつばうのおもうこと
短編集を借りてきて読んだ。
ネタバレ有りです。

これも、ある意味での人間原理を応用した形ではないだろうか。
数学大好きなイーガンらしい。
最初の部分はおなじみのイーガンっぽい身体改造が出てくる。
このあたりはあってもなくてもなんだろうけれど、SFという
立脚点を失わないために必要なプロトコルかもしれない。
でも、血の塗布で簡単に感染してしまったら、怪我したとき困るだろう
なんて事を心配してしまった。

さて、中核部分は【数学の定理は物理的系がそれをテストした
場合にのみ『真』となる。】である。
宇宙には”真理”があってそれを探索し、発見していくんじゃない。
物理の確認があって初めて真となるという、理屈。
そしてその対抗すべき相手があるという。ある意味での異世界のものたち
こちら側では代数工学社なんていうのが数学的兵器としてこの”不備”を
狙っているわけだけれども、それは大きく係わってこない。

そして”ルミナス”中国にある軍事コンピュータ。これによって”あちら側”
を攻撃して(物理的証明をどんどこしてしまうのかな?)
こちらを安定させようという試み。
お互いがフラクタルの腕のように変化しているイメージを持った。
同時に頭の中があちら側の数論で満たされるとそれの理解が始まるというのも
とても面白いイメージだ。
しかし、それはあちら側が引きはじめると霧散してしまう。
先日インフルエンザにかかり40度の熱の中何度もリフレインして考えていた
ことは人間の意識の座。それが毎度解りかけて終わり、終わっては考えを
繰り返していた。いったい答えはあったのだろうか。同じく霧散した。
ただの幻覚だとは思うけれど。

話を戻して、結末は相手側は無くなりもしないけれど相手側を武器として使おうにも
こちら側を侵略してこないという事が確認できて終わる。
ちょっと疑問点。ルミナスは30分たつと電源を落とさなきゃならない理由はなんだろう?
いちいちこんなスパコンを落としていたらたまったもんじゃないだろうと思うけど。

やはり中核は人間原理だと思う。

テッド・チャンの『0で割る』はもっと純粋な数学思考だと思う。
SFとしてのプロトコルは確かに無いけれど、私としてはチャンに
軍配をあげたい。
なぜなら、そこにゲーデルの一撃の空をも落とす衝撃と
ラッセルとホワイトヘッドの絶望を見るからだ。

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