『クリスタルの夜』 グレッグ・イーガン

ＡＩというもの。ブレイクスルー。
いつだったか、セル・オートマトンを
コンピュータ上で走らせてシミュレートしていると
まるで生きているようで、そのうちに研究者は本当に
それは生きているからコンピュータの電源を落とせなく
なるというのを読んだことがある。

とても面白く感じてそれを題材に掌編を書き、友人に
見せたことがある。
まあ、この手の話はよくあるものではあるのだけれど
イーガンが書くとなかなかすごい仕上がりになってくる。
ここででてくる超高速処理装置は”宝石”につながって
くるのだろうかと思う。
この世界"住人”たちは加速されたクリスタルのかなで
どんどんと進化を遂げていく。死の悲しみ。子供が出来
ない苦しみ。それも全部造物主が方向付けした結果。
人間の干渉によるものなのだけれど、それ自体作為的な
わけで、きっと”世界”は矛盾と不条理に満ちている。

やがてそのシミュレートされた彼らは外界（人間のいる
世界）へと接触を許され、なんと”モノリス”まで出現。

そしてその時点で自分たちのクリスタルを含めすべてを
脱出させる方法を実施してしまう。
最後はおなじみくるりんぱ！そうきたか！『万物理論』
でも『順列都市』でもお気に入りの『ルミナス』でも
この手の力技が飛び出す。

絶対的創造主ではあるけれど、愚かで。神は果たして
賢いのだろうか？そんなことを思う。いたとしたらね。