「らんちう」は、金魚の一種で「蘭虫、らんちゅう」と書く。
蘭の虫とは、グロテスクなネーミングと思うけど、天下太平となった江戸時代に、金魚ブームが起こり、珍品種の名付けとして、いかにも海外から輸入されたような品種名を付けたらしい。
ともあれ、富津岬に行ってみようということで、たまたま立ち寄った富津漁業組合の駐車場で「第一回房総らんちゅう品評会」が開かれていた。
駐車場に並べられた大きなホーローのたらいと、微妙な熱気をはらんだオジサンたちが群れているのが目にとまったのだ。
たらいは、親魚、二歳魚、当歳魚の3列に並べられ、大関、立行司、前頭などの木札が付けられている。
のぞきこむと、頭のコブコブがいやに目立つ寸胴の金魚がのっそりと泳いでいた。
三方を幕で張ったテントの中では、「イッセのセ」とかけ声を合わせている。
1匹1匹ごとに採点の真っ最中だった。
当歳魚の品評中で、さすがに特徴的な逸品は出ていないらしく、最高点のタタキ桶には1匹もおらず、採点外の桶にばかり戻されている。
成績不良のらんちうが元気よく泳ぎ回るのを、くわえ煙草のオジサンたちが品定めをするばかりだった。
大器晩成のらんちうをスカウトするのも、飼育家冥利につきるんだろう。
大関をとったらんちうの表彰額を手に、実物とためつすがめつ、高得点の訳を説明しているのが、また次回の品評会に向けての意気込みにつながるに違いない。
それにしても、海に面した漁協で、淡水魚のらんちうの品評会をするのは、どんな関連があってのことかしらん?
日本大通りと富士山を被写体として、定点観測中です。
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