さくらんぼ

さくらんぼの名産地と言えば山形県。桃といえば岡山県。テレビのクイズ番組じゃないけれど、名産地は数々ある。それが大量輸送により外国から輸入される同じ産品が市場にあふれ出すと、価格競争がはじまり、丹誠込めて栽培されてきたものはあっという間に市場からはじき飛ばされる。残留農薬問題をはじめ、産地偽装や賞味期限改竄につづき、燃料や原材料の値上げなどで、ただでさえ不安定な市場が一層流動化して、低賃金、低金利、雇用不安などから一般消費者の消費行動が急速に冷え込みつつある。できるだけ旬のものは旬のうちに食べようと、普段なら買っているさくらんぼも、生活費切りつめの上位にランクしていたので、これが知人から送られてきたときには、感謝感激して３日ほどでなくなった。今年は不作だとニュースされていただけに出来映えは例年よりも劣っているように感じた。
西瓜好きの我が家では梅雨の後半あたりが旬と計算していたが、６月末に手頃な価格で西瓜が並び始めたので、ガマンしきれず買って食べてしまった。夏休みに千葉の田舎で井戸で冷えた西瓜を１日１個食べていた頃に比べ、ずいぶん旬が早まっている。試しにプランターで西瓜を自作しようと試みたが、ヨーヨーサイズで枯れてしまったことがある。いざとなったら自作すれば食料なんかどうにでもなると考えている人も多いだろうが、実際栽培が簡単な小松菜やカブに挑戦してみても、思ったほど容易ではないことがわかる。まして無農薬でとなると、虫と病気と雑草に毎日格闘しなければならないし、１個１枚とて無傷できれいなものは収穫できないと悟るに違いない。高いなあと思って、たまにしか買わない魚も、燃料費高騰の政治的無策に抗議して出漁しない（いわゆるストライキ）ことになり、店頭から鮮魚が消える事態となった。野党も労働組合もそれに呼応する気配はないし、私たち国民も傍観している。与えられた民主主義に満足している国民だからこそ憲法改正の話があっても不思議に思わない。民主主義を勝ち取った韓国国民とは違いが歴然だ。
政治献金をしこたま受け取っただろう政府与党ととしては、冷凍魚の大量の在庫をかかえた商社を儲けさせる絶好のチャンスとしか考えていないんだろうし、商社とその関連株を持っている議員や政財界にとっても濡れ手に粟に違いない。
世の中どこをみてもエコ流行りなので、燃料消費しないことは地球に優しい行動だと歓迎する向きもある。自由経済とエコは両立できない。
それから、昨日テレビで、ゲンジボタルがそのエサとするカワニナに似た外来種コモチカワツボの繁殖で絶滅の危機にあるという。ニュージーランドから輸入された川魚が原因とする説と、蛍の保護活動をしている地域に多いことから蛍のエサとして輸入された可能性の２説ある。いずれにしても、コスト面で安易に輸入したことが原因のようだ。今さら鎖国はできないし、過去へタイムスリップすることもできない以上、それを時代の流れとして受け止めざるを得ないとするなら、温暖化も同次元の問題と言うことになる。
古代宗教では、人間の持つ業と欲が神の怒りをもたらすといっている。赤く艶やかなさくらんぼを食べて思う、今日この頃でした。