ヴォルガング・ゲーテの作品をCD40枚のオーディオブックにしたこのセットを買ったのは1年くらい前かと思いますが、かの有名な「ファウスト」を聴いてからなんとなく気がそれてしまい、そのまま放置してました。
今日はたまたま気が向いて「パンドラ」を聴いてみました。だいたい1時間くらいです。
1807年と1808年に発表された、ギリシャ神話をモチーフにした祝祭劇ですが、未完作です。
劇なので、言葉のリズムは心地よくていいのですが、やはり言葉が古臭いのと、リズムを保つために、通常の語順(シンタックス)が部分的に破壊されていることから、パッと聴いて理解できるものではないのが難点です。
パンドラは、ヘパイストスがゼウスの命令により、粘土で作った美しい女性。プロメテウスがゼウスの火を盗んだ罰として、その兄弟であるエピメテウスがパンドラを娶ることになった、というのが神話の語るところですが、この祝祭劇ではパンドラを失ったエピメテウスの嘆き、残された娘エピメレイアを守ることそしてプロメテウスとの語り合い(取り合い?)が中心になっています。パンドラについては美しいという以外の要素(人格的なすばらしさとか)は全く語られず、男たちが惚れこむのに「美しさ」と「誘うような態度」以外の理由などない、と言わんばかりです。
聴いていて、いかにも男目線のドラマだな、という感想しか抱けませんでした。「もう、勝手にやってくれ」みたいな。。。