このところずっと今野敏作品を読み続けていますが、多作な著者なので、なかなか制覇できません。
今回読んだのは萩尾警部補シリーズの『確証』『真贋』『黙示』の3冊。
このシリーズは警視庁捜査三課、盗犯係の萩尾警部補、通称「ハギさん」が相棒の女性刑事・武田秋穂と共に独特の目をもって活躍する物語です。
その「独特の目」というのは、いわば「盗人の気持ちになってみる」という盗人視点の見方によって手口や目的を読み取ることです。「プロ」と呼べる窃盗常習犯には独特のこだわりや手口の特徴があるので、それを見抜く力を養う必要のある捜査三課の刑事は皆、職人の雰囲気を持つようになるのだとか。
しかし、職人の勘だけでは犯人逮捕に至らず、どうしても「確証」が必要になります。
最初は捜査が勘を頼りに進み、最終的に必要な確証を得るに至るというストーリー展開なので、盗犯捜査の地味さも相まって、全体的に地味な感じです。
ハギさんが元窃盗常習犯を情報源として付き合う、その関係と人物像が興味深く読み応えがあります。
第二弾の『真贋』は、萩尾警部補と相棒の女性刑事・武田秋穂が担当区域で起きた窃盗事件に臨場し、その手口から常習犯・ダケ松の仕業と見抜くものの、ダケ松逮捕後に違和感を抱き、誰かをかばっているのではないかと考えます。同時期にデパートで行われる陶磁器展で美術館から貸し出される国宝の曜変天目と近々大きな取引をする噂のある故買屋の八つ屋長治は関係があるのか否か。ダケ松はなぜ取り調べ中に「八つ屋長治のことを調べろ」と唐突に言ったのか。
曜変天目の真贋が重要なカギを握り、話は二転三転します。第一弾よりもストーリー展開が面白いです。
第三弾の『黙示』は、渋谷区の高級住宅街で起きた「ソロモンの指環」の盗難事件がテーマです。被害者はIT長者の館脇で、盗まれた「ソロモンの指輪」は4億かけて入手したものだという。事件には「暗殺教団」らが関わっており、館脇は命を狙われているという。そこで犯人の解明と館脇の警護を仰せつかったのが、なんと『神々の神々の遺品』& 『海に消えた神々』の石神探偵ではないですか!ソロモン王が悪魔を操ったと言われる伝説の指環となれば、確かに石神の専門(?)領域に入るかもしれませんね。
それにしても、このシリーズでは捜査一課の勇み足・暴走がやけに多いような気がします。そうしないと地味な三課に脚光を浴びさせられないからなのでしょうか。
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