渋谷署に分駐所を置く警視庁第二機動捜査隊所属の高丸卓也を主人公とする短編集 『機捜235』 の続編である『石礫 機捜235』は一本の長編です。
高丸と縞長が密行中に指名手配の爆弾テロ犯・内田を発見し追跡したことで、内田が追跡に気付いてタクシー運転手を人質に取って建築現場に立てこもるという事件が発生します。
一方、パトカーでパトロール中だった自ら隊の吾妻と森田も内田が誰かと会ってリュックサックを交換しているところを中目黒駅で目撃しており、その目撃情報を立てこもり現場に来た特殊班SITや所轄刑事に報告するものの相手にしてもらえなかったため、高丸・縞長と共に独自に内田が立てこもる前に何をしたのかを探り出します。
立てこもりは成り行きとはいえ陽動作戦の可能性もある。内田が中目黒駅であって荷物を交換した相手こそが爆弾をどこかに仕掛ける可能性もあり、その緊急性が認められて、4人は機捜・自ら隊としては異例だが、警視庁本部に建てられた特捜本部に参加することになります。
石ころには石ころにしかできないことがある-警察内では軽んじられがちな機捜や自ら隊のような〈石ころ〉が「部長や総監といった方々を支えているんだ」と他作品でもおなじみの捜査一課の田端課長が高丸たちの働きを労う。
縞長のかつての同僚がSITで、縞長を「役立たず」と罵るシーンがありますが、今回も見当たり捜査班で鍛えた指名手配犯を見分ける縞長の眼力と記憶力が捜査の中で遺憾なく発揮され、結果的に元同僚にぎゃふん(?)と言わせることになり、胸のすく思いを味わえます。当の縞長は達観していて、警察官としての責任の重みにさらに自分を律しようとする謙虚さを持っているので、高丸もそれを見習おうとするところは微笑ましいですね。
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