『暁の回廊』は、「古代幻想ロマンシリーズ」に通じるものがあります。中心人物は古代の神々・三輪神の血をひく阿刀(あと)少年(のちの道昭)と葛城皇子(中大兄皇子)で、古代ファンタジーの独特の妖しい雰囲気を醸し出しています。山岸涼子の『日出処の天子』の若き厩戸皇子(聖徳太子)の神がかり的な超能力に通じる力がこの作品でも重要な要素となっています。上宮王家の滅亡や乙巳の変などの史実と絡めて物語が進行していきます。
絵柄もステキでファンタジーストーリーとして魅力的ですが、中大兄皇子を肯定的に描きすぎているかな、とも感じました。