うたたねこと

ちょっぴり皮肉、かつ、お気楽
うたた寝ネコが薄目で見た日常と社会

舌切り雀 ~ エコロジー昔話その2

2007-05-13 10:34:20 | エコロジー(?)昔話
新緑のさわやかな季節になりました。

エコロジー昔話好評につき(誰も褒めてないって)、第2弾「舌切り雀」をお送りします。

雀は今でも何処にでもいるありふれた鳥ですが、野鳥なので飼うには届け出がいるようです。 
このおじいさんは雀を飼っています。 届けはしてるのか? いいのか? となりそうですけど、まあ昔々のことですし、単に自然を愛する優しいおじいさんということにしておきましょう。 
雀はありふれた身近な自然の代表ですね。

ところが、連れ合いのおばあさんはちょっと違う。 自然なんかあまり好きじゃなさそう。 それで、雀がせっかく作った糊を食べてしまったことに激怒します。
イメージとして、このおばあさんは働き者です。 せっせと自然に手を加えて人間の役に立つ物にするーグウタラ主婦とは対照的ですね。 
手つかずの自然なんて我慢できないのかも知れない。 ましてその自然が、自分の労働の成果を台無しにしてしまったら…。
怒ったおばあさんは、雀の舌を切って追い出してしまいます。 お怒りはわからないでもないけど、舌まで切ることないですね。 自己中心的に自然を利用した結果、自然を破壊してしまったということかも知れません。

雀がいなくなったことを知ったおじいさんは、悲しんで雀を探しに出かけます。
自然との和解、再生を図ろうというわけです。
おじいさんの心が通じて雀と再会し、雀のお宿でもてなしを受けて、お土産まで貰います。 再生した自然の恵みを受けることが出来たのです。

ここで心優しい自然の味方、おじいさんの面目が発揮されます。 お土産のつづらを選ぶ時、自分に持てるだけでよいと小さいつづらを選びます。 自分が必要とする以上は自然から受け取らない、という考え方ですね。 現代社会でも「稼ぐが勝ち」とうそぶく御仁もいるけれど、そんなに稼いで何に使うの?ということです。

しかし、おばあさんの考えは全く逆。 もっと手に入るのに何で貰ってこないんだ、というわけです。 ○江氏のご先祖のような人です。
そこで、おばあさんも雀のお宿を尋ねて行きます。 すると雀たちは、あんな酷いことをしたおばあさんも、暖かく迎え入れてもてなすのです。
ここに自然の優しい面が現れています。 自然嫌いだろうと、自己チューだろうと、自然の恵みを受けて生きていることに変わりはないのです。

いい気になったおばあさんは、目論見通り大きいつづらを受け取ります。
自分に持てるかどうか考えもしないので途中でくたびれてしまう。 待ちきれずに開けたつづらの中から出てきたのは…、というご存じの結末。

これは決して雀たちー自然の嫌がらせではないのです。 おばあさんー人間の行動、選択の結果なのです。 
より多く、より楽に、より贅沢にと選んできた結果、大気汚染、水質汚染、核廃棄物、地球温暖化などの化け物が、つづらの中から出て来ているではないですか。

それでも大きいつづらが欲しいですか?



コメント
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