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問題多い政府の給付奨学金 ― 極めて不十分な規模 

2016-12-22 | 教育・保育・子育てを考える

 政府が制度導入を決めた、住民税非課税世帯や児童養護施設から進学した大学生らを対象にした「給付型奨学金」について、日本共産党の大平喜信衆院議員に聞きました。


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(写真)大平衆院議員

 「給付型奨学金」が来年度から日本でも実現されることになりました。しかし、私も10月19日の衆院文部科学委員会でとりあげて一つひとつただしましたが、今度の政府案の内容は、多くの不十分さや問題点を含んでいることをよく見ておかなければなりません。

 第1に支給対象の規模の問題です。

 1学年2万人という規模は、安倍政権が言う「本当に厳しい状況にある子供たちへの給付型支援」(「ニッポン一億総活躍プラン」、2016年6月2日、閣議決定)としても、きわめて不十分です。現在の高校2年生のうち、生活保護世帯や年収250万円程度の住民税非課税世帯だけでも約15万人おり、いわゆる「貧困対策」にすらなっていません。

 いまの学生生活の実態や、憲法が定める教育を受ける権利の保障という本来の趣旨から見れば、共産党が提案している、月3万円を全学生数の約2割強となる70万人に支給するというのが最低限の規模であり、だからこそ世界各国も学生の2割から3割という規模で支給しているのです。

 第2に財源の問題です。

 政府試算では、本格実施が始まる18年度には約72億円が必要となり、4年制大学全体にいきわたる21年度には約220億円が必要となります。その財源として検討されているのは、私も学生時代に利用した母子寡婦福祉資金など、厚労省管轄の低所得世帯への貸付金制度の削減や、貸与奨学金の額の引き下げなど、現行貸与制度の見直しなどによってまかなうと言われています。現在の乏しい教育費負担軽減策をさらに削って「給付型奨学金」の財源に充てるというもので、本末転倒であり、大問題だといわなければなりません。

 現在の教育予算の枠内でのやりくりではなく、先進国で最低クラスの教育予算そのものを抜本的に拡充してまかなうことが必要です。

 第3に給付のあり方の問題です。

 いったん給付をされても毎年学業状況の確認がおこなわれ、成績によっては給付の廃止や返還が求められるしくみとなっています。これでは現行の貸与奨学金にも存在する返還免除制度と本質的には変わらないものです。経済的な不安を抱える学生や保護者のみなさんが安心して利用できるものとは言えない制度となっています。

 これまで政府は、経済的事情によって進学をあきらめざるをえなかったり、人生を狂わされるほどの巨額の奨学金返済に苦しむ若者たちが後をたたないなかでも、そうした実態から目を背け、給付奨学金の実現を拒み続けてきました

 そんな政府の姿勢を一歩ではありますが変えさせることができたのは、他でもない学生や若者、保護者、市民のみなさんの声と行動の力でした。文字通りの本物の奨学金制度を実現させるため、さらに世論を広げて政府にせまっていこうではありませんか。


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