笠井氏、原子力協定締結承認案を批判
日本企業が原発をトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の両国に輸出できるようにする原子力協定締結の承認案が2日、衆院外務委員会で、自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決されました。福島第1原発事故後、日本が原子力協定に署名したのは両国が初めて。日本共産党の笠井亮議員は、「自国で重大事故を起こした政府が、原発を率先して売り込むなど無責任そのものだ」と厳しく批判しました。
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自・公・民など賛成し可決 衆院委
同協定は、トルコ、UAEの両国で進む原発建設計画に日本企業が参入し、核物質や原子炉、原子力関連技術を輸出するための法的枠組みを定めるもの。発効には国会の承認が必要です。
政府は原発輸出を「成長戦略」の柱にすえ、安倍晋三首相をはじめとする閣僚の“トップセールス”で推進。UAEとの協定は昨年5月2日、安倍首相が外遊先の同国首都ドバイで署名しました。安倍首相は翌3日にはトルコを訪問し、協定に署名を得ました。
委員会採決に先立って反対討論した笠井氏は、福島原発の現状を「汚染水問題など深刻な状況にあり、収束のめどすらたっていない」と示したうえで、他国に「世界一安全な原発を提供する」などと原発を売り込む政府の姿勢を批判し、新たな「安全神話」の輸出は許されないと強調しました。
また笠井氏は、トルコとの協定は両政府が書面で合意すればトルコ国内でのウラン濃縮や使用済み核燃料からのプルトニウム抽出を可能にするとし、「核兵器への転用につながりかねない重大な問題だ」と指摘しました。
採決では日本共産党のほか、日本維新の会、結いの党、生活の党が反対しました。承認案は昨年10月に国会提出されましたが、これまで審議されず、この日の審議もわずか5時間でした。
安倍政権は両国のほかに、核兵器を保有するインドや、サウジアラビアなどとも協定締結に向けた交渉をすすめています。