日本共産党の志位和夫委員長は5日の記者会見で、過激組織「イスラム国」による日本人殺害事件をめぐる政府の検証姿勢について問われ、「二度と犠牲者を出さない、世界から過激武装グループ、テロリズムをなくしていくための教訓を、冷静に引き出すことがいま大事です。この間の首相の答弁をみる限り、冷静な検証をしようとすると、『テロに屈することになる』の一言で、検証を拒否する態度をとっています。この態度は良くない」とのべました。
(写真)記者会見する志位和夫
委員長=5日、国会
志位委員長はこのなかで、三つの問題点を指摘しました。
第一は、政府が早い段階から本腰を入れた対応をしてきたのかです。
政府は、昨年8月に湯川遥菜さん、同11月に後藤健二さんが拘束された情報をつかみ、現地対策本部をつくっていながら、今年1月20日に「イスラム国」が2人の動画を公開するまで人的体制の増強をしてこなかったことを認めています。
志位氏は「1月20日までの時期に、本腰を入れた、真剣な対応が行われたのか、検証されなければなりません」とのべました。
第二は、1月20日に前後した中東歴訪での首相の言動です。
首相は、カイロで「ISIL(イスラム国)とたたかう周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と発言。その後、イスラエルでネタニヤフ首相と会談し、両国の軍事協力の促進を表明しています。
志位氏は「そういう言動が(拘束された)日本人の生命に危険を及ぼす認識があったのか、首相に再三聞いても答えません。“そういう質問をすること自体がテロに屈することになる”という答えでした。冷静な検証を、『テロに屈する』の一言で拒否するという姿勢です。これは良くない。引き続き検証が必要です」と厳しく指摘しました。
第三は、より大きな角度から歴史的な検証をする必要性です。
志位氏は、2003年に米国が始めたイラク侵略戦争が「地獄の門」を開き、シーア派とスンニ派との泥沼の内戦のなかから、「イスラム国」が生まれたと指摘しました。
「こういうモンスターのようなテログループをつくったきっかけは、イラク侵略戦争です。この戦争に日本は支持を与え、自衛隊を派遣しました。テロリズムを国際社会から一掃するためにどういう対応が必要かを考えるうえでも、イラク侵略戦争の歴史的検証をおこなうことは不可欠だと考えます」とのべました