印刷通販会社プリントパック(本社・京都府向日市)が、長時間労働是正を求めた労働組合役員に対して賃金差別を行った不当労働行為事件について13日、会社と組合が賃金額を是正し、労働時間短縮に取り組むことなどで合意し、中央労働委員会で和解しました。「ブラック企業」と批判を受けた同社。労働条件改善に一歩踏み出しました。
(写真)プリントパックと和解した全印総連の人た
ちと弁護団、支援者たち
=13日、中央労働委員会前
ネットで注文を受け、印刷して即時配送するプリントパックの職場は、「安くて早い」を実現するため、1シフト12時間の昼夜2交代制、時間通りに残業代を支払わない「固定残業代」などで過酷な労働条件となっていました。
2013年10月、労働者が全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)の個人加盟組合「ユニオン京」に加入し、プリントパック京都分会を結成。労働条件改善を求めました。
会社は、14年の賃金支給額の改定で、多くの労働者を月額5000円~1万円程度昇給したのに対し、中山悠平分会長と大橋貴之書記長の昇給をそれぞれ0円、500円とする差別を行いました。
昨年7月、京都府労働委員会が賃金差別を不当労働行為だと認定。12月には、弁護士やジャーナリスト、大学教授などでつくるブラック企業大賞企画委員会から「ブラック企業大賞2016業界賞」を受けました。
今回の和解では、同社が▽組合員の賃金額を改め、解決金を支払う▽労働時間の短縮に向け勤務体制の改善につとめる▽誠実に団体交渉に応じる―ことなどで合意しています。
和解成立後、中山分会長は支援者を前に、「いい結果になってよかった。組合を大きくしていきたい。これからもご支援をお願いします」と述べました。