「TPP(環太平洋連携協定)は多国籍企業がもうけるためのルールづくりだ」―。日本共産党の大門実紀史(みきし)議員は14日の参院TPP特別委員会で、TPPなどの「自由貿易」協定反対の動きが各国で高まっていることを示し、日本の将来に大きな禍根を残すTPP批准はやめるよう主張しました。
(論戦ハイライト)
(写真)質問する大門実紀史議員
=14日、参院TPP特委
米国では、TPP離脱を宣言してきたトランプ氏が大統領に当選しました。大門氏は、米国抜きでTPPは発効せず、再交渉を迫られる可能性があることを指摘。「このままの協定案を審議しても意味がなくなる」として、TPPからの撤退を求めました。
安倍晋三首相は「国会でTPPが承認されることで、自由貿易を主導するわが国の決意を世界に示すことができる」と述べ、前のめりの姿勢を崩しませんでした。
大門氏は、米国以外でも「自由貿易」協定反対の声が高まっていることを指摘(表)。ヨーロッパでは、EU(欧州連合)とカナダの自由貿易協定(CETA)、EUと米国の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に対して激しい抗議行動が起こり、政府官僚からも反対の声が上がっていることを示し、「多国籍企業の横暴で被害をこうむっている国民が怒りの声をあげているという認識はないのか」とただしました。
安倍首相は「一部の人々に富が集まれば、ひずみを起こすのは事実。そういう状況をつくらない努力をしていく必要がある」と答えました。
大門氏は、1990年代に入り、グローバル化が一気に進むなかで、「自由貿易」協定が多国籍企業の利潤を最大化するためのルールづくりになっている点を指摘。多国籍企業が各国に市場開放と規制緩和を求めて圧力をかけるため、雇用や賃金が抑え込まれ、農業や食の安全、医療など国民の暮らしが脅かされているとして、「人間あっての貿易であり、経済主権を含め、『守るべきものはきちんと守る』ルールづくりが今こそ求められている」と強調しました。
首相「大変厳しい」
安倍首相は14日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けたTPP発効の可能性について「大変厳しい状況になってきた」と認めました。一方で、「米国が政権交代期にある今、わが国こそが早期発効を主導しなければならない」と述べ、TPP推進に固執していく姿勢を示しました。民進党の小川勝也参院幹事長と自民党の山田修路議員への答弁。
首相はTPP発効を見通せない現状について「わが国の意思を示せなければTPPは完全に終わる」と危機感をあらわにしました