参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は25日、TPP承認案と関連法案について中央公聴会を開き、4人の公述人が意見を述べました。米国のトランプ次期大統領がTPP離脱を表明するもとで「日本がこの国会で批准する合理的な理由はない」(アジア太平洋資料センターの内田聖子代表理事)など、TPP批准に固執する政府・与党に厳しい批判が相次ぎました。日本共産党の大門実紀史議員が質問しました。
内田氏は、世界で自由貿易協定反対の動きが広がっていることについて「自由貿易推進の歴史の失敗を表している」と指摘。自由貿易で多国籍企業は利益をあげたが、市民には還元されず、格差が広がったと強調しました。
萩原伸次郎横浜国立大学名誉教授は、トランプ氏がTPP離脱を主張する背景に、北米自由貿易協定で米国内の雇用が失われた苦い経験があると指摘。「自由貿易の促進が雇用の増大につながる保証はどこにもない」と語りました。
全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は「TPPは日本の公的医療保険制度を切り崩し、国民の生活と権利を損なうものだ」と述べ、TPPを批准しないよう求めました。
一方、日本経団連の根本勝則常務理事は「米国がどうなるか最終的に見極めがつくまで、各国は当然批准に向け努力すべきだ。そうでなければ米国に翻意を促すこともできない」と述べました。