福島の教訓から学ばず原発回帰路線つきすすむ政権への痛烈な批判
― 「エネルギー基本計画」閣議決定にたいし メディアは
安倍政権が閣議決定した「エネルギー基本計画」にたいし、原発立地県をふくむ多くの地方紙が12日付社説などで「福島事故の反省が全く見えない」「原発回帰だ」との批判を展開しています。政権のいうままに同計画を「現実的」「妥当な内容」と歓迎する「読売」「日経」など一部大手紙がいかに世論とかけ離れているか、が浮き彫りになっています。
国民多数は「原発ゼロ」
同計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、その永久化と再稼働・核燃料サイクルの維持をうたいました。しかし、どの世論調査でも、原発の今後について「原発ゼロ」を願う人が7~8割にのぼっています。安倍政権はこれに真っ向敵対する少数派です。大手紙を見ると、計画歓迎・再稼働促進をうたう「読売」「日経」「産経」にたいし、「朝日」「毎日」は「原発依存政策の追認」だとして「これがメッセージか」「計画に値しない」と明確に批判します。
地方紙のなかでも、東日本大震災被災3県の地元紙の視点は切実です。
「河北新報」は「先の見えない避難生活の続く被災住民からは及第点はもらえまい」と断罪。
「福島民友」は「安全神話に陥り悲惨な事態を防げなかった深い反省を一時たりとも放念してはならない」という同計画の文言を引用し「過酷な事故を二度と起こさないことだ」(13日付)と迫ります。
「岩手日報」は「福島原発事故前の方向に逆戻りだ」「原発回帰は時代に背く」(3月4日付)と警告しており、いずれも被災地の視点から政権の対応を厳しく問うています。
公約違反の政府を追及
原発をかかえる地元紙も痛烈です。政府が再稼働を急ぐ川内原発(鹿児島県)のある「南日本」は、「やはり公約をたがえた」と自民・公明両党の不実をズバリつき、「核のごみ」など課題を先送りしたままの原発再稼働に懸念を表明(11日付)。伊方原発(愛媛県)のある四国各紙は、「計画は現状の追認であり、福島事故の反省がまったくいかされていない」(「愛媛」13日付)、「そもそも原発事故の詳しい原因は解明されていない」のに「原発回帰へ軸足を移す政府の姿勢は許されるだろうか」(「高知」)と迫ります。
基準は厳しくても過酷事故は起こりえる、住民の避難計画もないまま再稼働に突き進んでいいのか―。地方紙に共通しているのは、福島の教訓から学ぼうとせず、「3・11もなかったかのよう」(「東京」)に原発回帰路線をつきすすむ政権への痛烈な批判です。圧倒的な世論を結集し、再稼働を許さず「原発ゼロ」へ政権を包囲するたたかいはこれからです。