北朝鮮の核兵器・ミサイル開発をめぐって米国と北朝鮮の緊張が高まっていることに関し、米国の連邦議員や元政府高官などからは、危機打開のために前提条件なしで直接対話に踏み出すようトランプ政権に求める声が相次いでいます。
ティラーソン米国務長官は1日、「われわれは北朝鮮の敵ではない」と述べ、体制転換は求めないことを明らかにし、対話の席に着くよう北朝鮮に呼び掛けました。
「軍事解決ない」
米下院の民主党議員64人は10日、ティラーソン氏に宛てた書簡で、この発言を歓迎し、「北朝鮮との直接対話を求める最近の発言を強く支持する」と表明しました。トランプ大統領と政権幹部が「最大限の注意と抑制を持って発言し、行動する重要性」を強調し、北朝鮮問題をめぐっては「簡単に言えば、この問題に軍事的な解決策はない」と指摘しています。
米国務省の元高官で、1994年の米朝枠組み合意の際に重要な役割を果たしたジョエル・ウィット氏は10日、米テレビで、北朝鮮に対してとるべき選択肢として直接対話を提案しました。
同氏は「米国と北朝鮮の直接対話を実現するための外交手段はまだ十分に真剣に追求しきっていないと思う。北朝鮮側と行った私自身の対話経験に基づけば、彼らはある一定の条件のもとでは直接対話を行う準備がある」と述べました。達成する必要がある条件の一つは、「あらゆる前提条件をなくすこと」だと述べました。
米誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』(電子版)は11日、「緊急の必要性 ワシントンと平壌の直接対話」と題する記事を掲載しました。
記事は、トランプ政権が北朝鮮に対する明確な戦略を持っていないと批判し、「依拠すべきアプローチは、あらゆる前提条件を排して、北朝鮮と直接交渉に入ることだ」と指摘しました。6月21日には北朝鮮の駐インド大使がテレビ・インタビューで、核実験とミサイル発射の凍結をめぐって米国との直接交渉に臨む準備ができていると発言したことに触れ、「これは対話のためのまれに見る機会だ。もし米国がこれを逃すと、核武装した北朝鮮という現実はますます後戻りしないものになる」としています。
「共存する方法」
記事はまた「直接対話は北朝鮮の危機を魔法のように解決することはないだろう。それでも、それは米朝両国に、意思疎通し、激化や誤解を防ぎ、しばらくは共存する方法を与えることになるだろう」と強調しました。
6月28日にはペリー元米国防長官ら6人がトランプ大統領に連名書簡を送り、北朝鮮との協議開始を要求。対話こそが「北朝鮮の核開発や核兵器の使用を阻止する唯一の現実的な選択肢だ」と訴えました。書簡は、より公式な交渉の選択肢を探る目的を持って、「前提条件なしの非公式な2国間交渉」を始めるべきだとしています。