政府は26日の関係閣僚会議で、東京電力福島第1原発の廃炉工程表を2年ぶりに改定した。1、2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し開始を「2023年度めど」とし、3年先送りした。事故で溶け落ちた1~3号機の核燃料(燃料デブリ)の取り出しについては、来年度前半までとしていた最初に着手する原子炉の選定と工法決定を19年度中に遅らせた。21年の燃料デブリ取り出し開始は維持し、廃炉完了まで「30~40年」とする目標は変えなかった。
工程表の改定は4回目。プール内の使用済み核燃料は、電源喪失などで冷やせなくなると溶融する恐れがある。取り出して空冷式の保管容器に移す計画で、4号機のみ完了している。1、2号機は15年の前回改定時に取り出し開始時期を遅らせ、いずれも20年度としていた。
しかし、1号機では原子炉格納容器のふたがずれていることが分かり、放射線低減策が必要になったほか、がれきのプールへの落下防止策にも時間がかかると判明。2号機でも建屋上部の屋根や壁の全面解体が必要になり、放射線量調査や放射性物質の飛散防止策の検討でさらに遅らせる必要があると判断した。3号機は今年1月、17年度だった取り出し開始目標を18年度中ごろに延期している。
燃料デブリの取り出しについては、1~3号機とも原子炉格納容器を水で満たさない「気中工法」を採用。格納容器の底に溶け落ちた燃料デブリを、横側から取り出す方法を軸に進めると決定した。しかし、来年度前半までに最初に着手する原子炉を選んで具体的な作業方法を決めるという目標の達成は断念した。炉内のデブリの分布や性状の情報が不足しており、経済産業省の担当者は「(取り出し方針の)実現可能性の調査に時間をかけたい」と説明した。