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きょうの潮流

2017-09-27 | コラム

夏の名残を感じさせる汗ばむような陽気の日でした。のどかな昼下がり。家族の穏やかな日常が突然絶たれました。空から落ちてきた1機の米軍機によって▼1977年9月27日。厚木基地を飛び立ったファントム偵察機がエンジン火災を起こし、横浜市内の住宅地に墜落しました。「バイバイ」の言葉と、鳩ぽっぽの歌を口にしながら息を引きとった2人の幼子。母の林和枝さんは全身の皮膚の8割が焼かれました▼死の淵をさまよいながら4年4カ月、過酷な治療にたえ続けた和枝さん。一方で米兵のパイロットは墜落前に脱出して無傷。すぐに自衛隊のヘリコプターで運ばれ、日米地位協定によって事故の究明も閉ざされました▼妻の悦子さんが大やけどを負った椎葉寅生さんは、家族ぐるみで米軍を裁判に訴え、賠償を認めさせました。「安保条約をなくし、基地をなくせば、あんなことは起きなかった」と▼日本中が悲しみと怒りにふるえた事件から40年。今も空を見上げれば米軍機がわが物顔で飛んでいます。墜落や落下物、とどろく爆音。被害に苦しむ住民を尻目に、米軍基地の強化が進められ、沖縄をはじめ全国で訓練が拡大しています▼不平等な協定も残されたまま。国民の安全が脅かされている現状こそ国難といわずして何と。「あんな飛行機さえ落ちてこなければ、今頃は幸福に暮らしていることでしょう」。子どもの死を告げられた和枝さんが日記につづった言葉は、米軍の横暴に手を貸す安倍政権にも突き刺さっています。

 

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