8日、環太平洋連携協定(TPP)交渉
インドネシア・バリ島で8日、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国の首脳会合が開かれました。同交渉をめぐり、日本の政府・自民党がこれまで「守るべきものは守る」と公約してきたコメや乳製品など重要5項目で譲歩する姿勢をみせていることに、「公約まで投げ捨てるのか」と強い怒りが広がっています。
TPP交渉にあわせてインドネシアを訪問している自民党の西川公也TPP対策委員長は、「(農産品の重要5項目を関税撤廃の例外から)抜けるか、抜けないか、検討はさせてもらわなければならない」「どんな小さな状況(の変化)も勘案しない姿勢をとり続けられるかという問題がある」(6日、記者団に)と発言。重要5項目の関税撤廃の検討に踏み込みました。政府も「西川氏とすれば当然の発言だろう」(菅義偉官房長官、7日)、「5項目の中で『これはどうしても』という項目を、最悪のことを考えておくのは当然だ」(麻生太郎副総理、8日)と関税撤廃の検討を当然視しています。
コメなど農産物の重要5項目は細かく分類すると586品目です。全品目の関税を維持した場合の自由化率は93・5%。品目ごとに関税撤廃の可否を検討するのは、関税の自由化率を90%後半にすることを求めている米国などの圧力に応えるため。ニュージーランドなどはあくまで100%の自由化を求めています。
TPPはもともと、関税も非関税障壁も撤廃することが原則です。それを、自民党は昨年の衆院選で「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対と明記。7月の参院選でも「守るべきものは守る」と公約し、政策集で農林水産分野の重要5項目等の聖域を確保することを掲げ、TPP交渉参加にのめり込みました。
交渉から即時撤退せよ
紙智子参院議員の話 今回の首脳会合が目指した「大筋合意」を確認できなかったことは、TPPをめぐる各国間と各国内の矛盾を反映しています。米国など先進国と途上国を「橋渡し」するなどといって先走る安倍晋三政権の危険な姿勢も明らかになりました。TPPは国民生活や地域経済はもちろん、国家主権にも害のある協定で、それへの参加は許されません。その交渉は、情報を国民に隠し、米国の都合で妥結を急ぐなど、民主主義もないがしろにしています。米国の意向に沿い、年内妥結へ向けて農産物重要5項目の関税撤廃までも検討するなどということは、国民への重大な裏切りです。日本政府は交渉から即時撤退すべきです
重要5項目
コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など甘味資源作物。