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きょうの潮流

2017-08-19 | コラム

よく見かけるスマホの自撮りが、こんなに経済効果を上げているとは知りませんでした。ある調査では4~5割の女性が自撮りのために旅行や食事に出かけたことがあると答えていますSNSにアップした写真や動画を見た人がまた足を運ぶ。自撮りの目的はさまざまでしょうが、自分の行動の記録とともに、体験や風景を親しい人やつながりのある人たちと共有したいという気持ちがあるのかもしれません風景の意味を知ることは、自分の周りにあるものの本当の姿を把握し、自分が何者であるかを自覚し、現実を肯定し、自由を見いだす―。哲学者の清水真木さんが『新・風景論』の中で展開しています。それは「世界との和解」だといま写真家の沢田教一展が東京・日本橋の高島屋で開かれています。彼はベトナム戦争の最前線で市民や兵士の姿をとらえ、この戦争の本質を伝えたことで知られていますが、本人は戦場カメラマンと呼ばれることを嫌っていました。「そこに生きる人びとを、風土を撮りたいんだ」写真展は、過酷な戦場とともに故郷・青森の原風景を重ね合わせています。妻のサタさんは、沢田らしい被写体への優しさと、まなざしの先にあった真実と平和への思いはそこで培われたといいますある場所に身を置いて、目の前に現れたものに視線を向け、今の一瞬を風景として切り取る。意識のあるなしにかかわらず、それは人間の営みを記憶し、みずからの生きている証しを世に伝え残しているのかもしれません。

 


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