東京電力の広瀬直己社長は21日、本社で記者会見し、福島第1原発事故で原子炉内の核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」という言葉を使わないよう当時の社長が社内に指示していた問題について、「隠ぺい」に当たるという認識を示しました。
東電が設置した第三者検証委員会(委員長=田中康久・元仙台高裁長官)が16日、炉心溶融を判断する社内マニュアルがあったにもかかわらず、炉心溶融の公表が2カ月以上遅れた問題についての報告書を公表。報告書によると、当時の清水正孝社長が2011年3月14日、記者会見中の武藤栄副社長(当時)に対し、広報担当社員を通じて、「炉心溶融」などと記載した手書きのメモを渡し「この言葉は使わないように」と耳打ちさせていました。しかし検証委は、意図的な隠ぺいを否定していました。
会見で広瀬社長は、「社会の皆さまの立場に立てば隠ぺいととらえられるのは当然であり、深くおわび申し上げる」と謝罪。記者から社長の考えを問われると「隠ぺいです」と答えました。
また、新潟県の技術委員会に対し「炉心溶融の定義がない」などと誤った説明をしていた問題で、東電は責任を明確化するため、広瀬社長を減給10%(1カ月)、姉川尚史常務は同30%(同)の処分をしたほか、技術委の対応に当たった社員1人を厳重注意としました。
ただ広瀬社長は、技術委への虚偽説明について「隠したということではなかったと報告を受けている」と述べました。
検証委は報告書で、社長の指示は官邸側から要請を受けたと推認しています。しかし、誰からどんな要請を受けたかなどは不明で、検証委も政府関係者に問い合わせしていません。広瀬社長は、こうしたことなど報告書の再調査はしないとしました。