学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地取引をめぐる公文書改ざん事件をめぐって“疑惑の1週間”が注目されています。当初、学園に好意的だった安倍晋三首相が態度を急変させるまでの1週間です。この時期に一体何があったのか―。
森友学園への国有地格安売却が発覚したのは昨年2月9日。安倍首相の妻、昭恵氏が名誉校長を務める小学校建設のため、地下のごみを理由に約8億円値引きして売り払ったという疑惑です。
発覚直後から学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=は、「赤旗」やマスコミ各社の取材に応じます。昭恵氏との関係について、籠池被告は「『名誉校長に』とお願いして、快諾をしていただいた」「何回も(学園に)おこしいただいた」と積極的に説明していました。
■2月17日 首相答弁
安倍首相が初めて森友疑惑について言及したのは、昨年2月17日の衆院予算委員会。「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいと聞いている」と学園を持ち上げたうえ、まだ余裕があったのか、こう断言しました。
「私や妻が(国有地取引に)関係したということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」
この答弁を境に、首相周辺や財務省の動きが急にあわただしくなります。
■2月20日口裏あわせ
籠池被告は、このころ顧問弁護士を通じて財務省から「身を隠してほしい」と伝えられたと証言しています。
また今年4月のNHK報道によると、昨年2月20日に財務省職員が「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、学園側にうその説明をするよう要求。学園側は断ったとしています。
■2月22日官邸の会合
同月22日には、菅義偉官房長官のもとに佐川氏、国土交通省航空局次長らが説明に訪れます。佐川氏は証人喚問で「(国有地の)取得要望とか、いつまでの貸し付け契約とかの経緯を官房長官はお聞きになっていた」と証言しています。
実は、当時、財務省の大臣官房総括審議官だった太田充・現理財局長も同席していました。太田氏は、今年3月末から国会で何度も出席者を問われたにもかかわらず、「説明の最終責任者は(当時の)理財局長」とはぐらかすばかり。審議が中断したため、自分の名前を出さずに「当時の官房の総括審議官も同席している」としぶしぶ答弁したのです。
隠す必要がなければ、堂々と参加を説明すればいいだけです。
■2月24日 答弁一変
この会合の2日後、安倍首相は衆院予算委で、籠池被告を「簡単に引き下がらない方」「非常にしつこい」と批判しはじめます。他方、佐川氏は日本共産党の宮本岳志衆院議員の質問に対し、「近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした」と答弁。交渉記録を廃棄したと説明しはじめたのです。
安倍首相の「総理大臣も国会議員もやめる」答弁をきっかけに、官房長官と関係官僚との会合を経てから、改ざんや廃棄に着手したのではないか―。一連の経過からは、そんな疑いが浮かび上がります。