米空軍の特殊作戦用の垂直離着陸機CV22オスプレイ5機が5日、横田基地(東京都福生市など5市1町)に飛来しました。在日米軍が3日に同基地への前倒し配備を突然発表したのを受けたものです。一昨年から今年にかけ、沖縄県の普天間基地(宜野湾市)に所属する米海兵隊のMV22オスプレイが墜落や不時着などの重大事故・トラブルを各地で頻発させ、県民や国民の不安を広げています。首都東京にある横田基地へのオスプレイ配備が、都民や国民の命と安全を一層脅かすのは明らかです。配備計画は撤回すべきです。
米言いなりで突然発表
在日米軍や政府の発表によると、日本初となるCV22の配備計画は▽今年夏ごろ5機を横田基地に配備する▽5機は今週後半、同基地に一時的に立ち寄り、その後、訓練のために日本を離れる▽数カ月の訓練から同基地に戻ってきた後、常駐配備される▽配備機数・人員は今後数年間で段階的に計10機、約450人になる―というものです。米軍は、昨年後半から配備を開始するとしていた当初の計画を2019年10月~20年9月に延期していましたが、急きょ前倒しを発表しました。
重大なのは、今回の発表が5機のCV22を積んだ輸送船が米軍管理の横浜ノース・ドック(横浜市)にちょうど到着した3日だったことです。河野太郎外相は、在日米軍から配備の通報があったのは3月16日だったものの、発表が遅れたのは「(米側から)日本側からの公表を控えるよう要請をされていた」ためだったと述べています(4日、衆院外務委員会、日本共産党の宮本徹議員への答弁)。
米軍言いなりの許し難い情報隠ぺいです。配備に対する国民の不安や批判を全く意に介さない態度です。抗議行動の広がりを抑える狙いがあった疑いが濃厚です。
日本政府は、CV22の配備について「日本の防衛とアジア太平洋地域の安定に資する」としています。しかし、同機は、敵地の奥深くで破壊工作や要人暗殺、空爆の誘導などをひそかに行う特殊作戦部隊を潜入・脱出させることが主な任務です。米軍の先制攻撃や侵略戦争の先兵としての役割を担う軍用機であり、「日本の防衛」と無縁であるばかりか、「アジア太平洋地域の安定」にも逆行します。
CV22による事故の危険性も重大です。CV22は、MV22と機体の構造や基本性能は同じです。しかし、任務の特殊性からMV22にはない地形追随装置を装備し、夜間飛行能力も強化されています。夜間や超低空での飛行、パラシュート降下など危険な訓練が各地で強行されることになります。
防衛省は、MV22の沖縄配備の際、CV22の重大(クラスA)事故率の方が高い理由として「より過酷な条件下での訓練」を挙げていました。MV22も近年、「最も過酷な飛行環境で運用されている」(小野寺五典防衛相)ため重大事故率は過去最悪になっています。
首都圏の空を飛び回る
首都圏では千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地が米軍のオスプレイの整備拠点になっています。陸自が導入するオスプレイの同駐屯地への暫定配備も検討されています。首都圏の空をオスプレイが飛び回る事態が想定されます。オスプレイ配備撤回の世論と運動を全国で広げることが必要です。