「数にまかせ」国民を忘れている
― メディアも指摘
今国会で安倍自公政権は、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案でも、「年金カット法案」でも、「強行採決」暴言のあとに実際に強行採決を行うことを繰り返しています。“強行採決ありき”で暴言に何ら反省せず、数の暴力で議会制民主主義を壊す究極のモラルハザード(倫理の喪失)政権となっています。
25日の衆院厚生労働委員会で強行採決された「年金カット法案」。萩生田光一官房副長官が「強行採決なんて世の中にあり得ない。採決を強行的に邪魔する人たちがいる」(23日)と暴論を述べた直後の暴挙でした。
さらに安倍晋三首相は強行採決当日の委員会質疑で、法案を批判した野党議員に対して「私が述べたことを全くご理解いただいていないようであれば、こんな議論を何時間やっても同じ」と言い放ち、国会審議を軽視する傲慢(ごうまん)な態度を示しました。
メディアも「いまの自民党は数の力にまかせ、野党の背後にもいる多くの国民の存在を忘れているようだ」(26日付『朝日』)と指摘しています。
相次ぐ政府・与党の暴挙は、国民に丁寧に説明しようという誠意さえなく、強権しか「統治」の術(すべ)がないことを自ら告白するものです。
TPPでも、所管大臣の山本有二農水相が「強行採決」暴言を2度も行いましたが、辞任を求める多くの世論を無視して続投。与党は、徹底審議で協定の全容と問題点を国民に明らかにするという国会の責務を投げ捨て、衆院でTPP承認案・関連法案を強行採決しました。
多国籍企業の利益を保障し、国民の暮らしや権利を全分野で侵害するのがTPPです。その上に、米国のトランプ次期大統領が「TPPから撤退する」と正式表明し、発効の見通しさえ立っていません。自民党内からも「TPPが事実上消えた」(小泉進次郎党農林部会長)という声が出ています。
ところが安倍首相は「TPPの意義を米国に粘り強く訴え続ける」とつなぎとめようと必死です。そうした姿勢では、さらなる譲歩を米国から迫られることになり、国益や主権を自ら差し出すことになります。