20日に就任するトランプ次期米大統領が指名した閣僚候補に対する米上院の公聴会で、トランプ氏がこれまで示してきた政策に対し、主要な閣僚候補が正反対の主張を繰り返しています。米メディアも「閣僚候補、トランプ氏と矛盾」(ワシントン・ポスト紙)と指摘しています
国務長官に指名されたティラーソン氏は11日、上院外交委員会の公聴会で、トランプ氏が大統領選挙中、北朝鮮の核の脅威などに対し日本、韓国の核兵器保有を容認したことについて問われ、それには「同意しない」と返答。さらにトランプ氏が就任後、正式に交渉離脱を表明する環太平洋連携協定(TPP)に関しては、「反対しない」と明言し、同協定を支持する意向を示しました。
12日の上院軍事委員会で国防長官に指名されたマティス氏は、トランプ氏が緊密な関係構築を唱えるロシアについて、「北大西洋の同盟(NATO)を壊そうとしている」「われわれが(ロシアと)協力して事にあたれる分野は減っており、困難に直面している分野は増えている」と懸念を表明しました。
国土安全保障長官に指名されたケリー氏は10日、移民の入国を防ぐためと称してトランプ氏が唱えるメキシコ国境での壁建設について、「物的な障壁はそれ自体、うまく機能しない」と明確に否定しました。
トランプ氏との食い違いに加え、閣僚候補間の見解の相違も露見しています。
オバマ政権が実現したイランとの核合意については、ティラーソン氏が「全面的な見直し」を主張。一方でマティス氏は「米国は約束したら、それに従い同盟国とともにやっていかなければいけない」と述べ、合意は維持すべきだと指摘しました。
こうしたトランプ氏と閣僚候補との主張の矛盾について、米シンクタンク、ブルッキングス研究所のエレイン・カマーク上級研究員は13日付のワシントン・ポスト(電子版)で「きわめて異常」だと指摘。「大統領と政権移行チームが最初にやることは、間違いなく大統領と閣僚を一致させることだ」と述べました。
しかしこうしたメディアの指摘について、トランプ氏は13日、ツイッターで「閣僚候補はよくやっている」「私の見解ではなく、自分自身の見解を表明してほしい」と述べています。