【ニューヨーク=池田晋】国連本部で開催中の国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障)は26日、決議案の採決に向けた手続きに入り、各国が採決前の意見表明を行いました。日本政府提出の核兵器廃絶決議案が核兵器禁止条約への言及がないことなどから各国から不支持や棄権の表明が相次ぎました。各国は、異例の厳しい批判で、唯一の戦争被爆国に対し、軌道修正を促しました。
前回の決議で共同提出国に名を連ねたオーストリアは、「決議案は核兵器禁止条約という歴史的な事実を反映していない」と指摘。核不拡散条約(NPT)再検討会議で確立された文言が置き換わっており、同体制への悪影響を強く懸念すると棄権を表明し、「将来の決議が均衡を取り戻すことを望む」と日本に再考を求めました。
核兵器禁止条約推進国の一つブラジルは、「核廃絶の取り組みにおける嘆かわしい後退」とし、棄権を表明。禁止条約への言及がないことに加え、NPT6条の核保有国の軍縮義務が削除されており、再検討会議の合意文書が「ひどく曲解されている」と批判しました。
エクアドルは、今年の決議案は「ただ意欲的でないというにとどまらず、総意が得られた文言を変えようとしており、危険なものだ」と指摘。不支持を表明しました。
南アフリカは、過去の決議からの「深刻な逸脱」と日本の変質ぶりを指摘し、支持できないと強調。核廃絶への決意を新たにするどころか「関与を骨抜きにしそうだ」と述べました。
グアテマラは、日本の決議案に賛成するとしながらも、核兵器禁止条約についての文言がないので共同提出国とならなかったと表明しました。
米国は米英仏を代表した表明で、禁止条約が「慣習国際法を構成したり、その進展に寄与することを決して容認しない」と述べ、規範として定着していくことに強い警戒を示しました。