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きょうの潮流

2017-10-28 | コラム

東京の空の玄関口、羽田空港。かつて、そこに総合運動場があったことは知られていません。日本がオリンピックに初参加した1912年ストックホルム大会の選考会も開かれた場所です▼当時、IOC(国際オリンピック委員会)委員になったばかりの嘉納治五郎はこれを機に国内に体育思想を普及し、世界で活躍できるスポーツの基礎をつくろうとしました。これが日本の五輪運動の始まりといわれています▼64年の東京大会が決まった際の招致演説。「五輪の旗」と題した教材が載った小学6年生の国語の教科書をかざした外交官の平沢和重は、日本では五輪運動を義務教育の段階から学んでいると力説しました▼スポーツを通した健全な人間づくり、暴力や差別のない公正で平和な世界の実現。五輪を開く都市や国にはその理念を広める役割があります。2020年東京五輪まで1000日前のきょう、各地で催しが予定されています。しかし五輪運動や大会準備は進まず、暗雲が立ち込めています▼今月初めIOCと面談したオリンピック・パラリンピックを考える都民の会は経費削減とともに予算の透明性を求めました。大会後にマンションとなる選手村予定の都有地が時価の1割で売却され、住民訴訟が起きていることも伝えられました▼五輪をはじめ問題山積の都政ほったらかしで衆院選に走った都知事。そのもとで情報公開も都民の合意もないまま、巨大開発だけが進んでいく。五輪開催の意義が問われ続けるカウントダウンです。


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